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上野動物園のモノレールが休止に。“90秒のミニトリップ”よ永遠に

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東京都交通局

東京都交通局40形は、上野懸垂線の4代目車両

「日本初のモノレール」として名高い、東京都交通局上野懸垂線は、2019年11月1日から運行を休止した。恩賜上野動物園の東と西を結ぶ“公式の鉄道路線”として、62年の長きにわたり、来場者に笑顔を与えてきた。まさにパンダと並ぶシンボル的存在を追ってみよう。

実験用として開業

 モノレールは1901年、西ドイツ(現・ドイツ)のオイゲン・ランゲン氏が開発。1903年、ウッペルタール市に建設され、実用化された。戦後、新しい都市交通機関として、日本を含め様々な国で注目を集める。

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 東京都交通局は“未来の都市交通の実験線”という名目で、恩賜上野動物園の本園(現・東園)と分園(現・西園)のあいだに独自開発した片腕懸垂式モノレールを建設することになった。1957年2月15日に着工。そして、12月17日、日本初のモノレールがわずか331.42メートルの距離で開業した。

 車両はH形2両編成で、定員62人。安全面を考慮し、列車は立席乗車を認めない定員制をとる。当時、最高速度は12km/h(のちに14km/hに向上)という低速運転だった。翌1958年4月1日には、上皇さま(当時の皇太子さま)が御見学された。

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地下鉄網の整備により、広大なネットワークを築く

 モノレールの建設費は地下鉄の半分程度になり、次世代都市交通機関としての期待はあったが、結局実用化されなかった。やがて同局の交通網は、都営地下鉄と都営バスが中心になり、都電(路面電車)が次々と廃止されていった。

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