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理不尽なクレームに直面したら「会話のペース」を意識しよう

学び

まずは会話のペースに合わせてみよう

 では、感情に任せて早口でまくし立てる相手の怒りを鎮めるためにはどう対応すればよいのでしょうか。それにはまず相手の話すスピード、話し方、声の調子、声の大きさ、リズム、それに呼吸をよく観察して、自分のペースを相手に合わせることから始めます。

 ここで気を付けなくてはならないのは相手の「モノマネ」ではなく、あくまでも話すペースを相手に合わせるということです。「モノマネ」になってしまっては相手の逆鱗に触れてしまうのは想像に難くないでしょう。

 そして自分の話し方を相手のペースに合わせたら、そこから徐々にペースダウンしていきましょう。重要なのは、「あからさま」にではなく「さりげなく」相手が気づかないくらいほんの少しずつペースを落としていくことです。

 すると、こちらのペースダウンに合わせて相手のペースも徐々に落ちていき、それとともに怒りのボルテージも次第に落ち着いてきます。そして昂った感情が落ち着きを取り戻すことで、ようやくこちらの話を聞く準備ができてくるのです。

相手が冷静さを取り戻したタイミングを見極める

ストレスメーター

 なお、いくらペースダウンを上手く進めても、相手の感情を逆なでするような話をしてしまっては、効果は期待できません。そのため、例え相手の話が間違っていると思っても反射的に否定してはなりません。

 あなたの話が正論であろうとなかろうと火に油を注ぐだけでしょう。そうならないために相手のペースに合わせつつ、一旦は相手の話を全て受け止めながら(ただし肯定する言葉は使わない)徐々にペースダウンして、相手が冷静さを取り戻し、あなたの話を受け入れる準備ができたことを見極めてから丁寧な説明を行うとよいでしょう。

 怒りで興奮した相手に真正面からぶつかって余計な体力を奪われたり、さらなるトラブルを生んでしまったりしないよう、まずは相手の話のペースに合わせて、そこから徐々にペースダウンすることで落ち着いた環境を作り、それができたら本当の意味での話し合いをする。

 もし同じようなシチュエーションに巻き込まれてしまったら、ぜひ試してみてください。

<TEXT/相原秀哉>

㈱ビジネスウォリアーズ 代表取締役。企業の生産性を上げる業務改革/働き方改革コンサルティングと課題解決スキルを教える研修、教育サービスを手掛ける。仕事と育児の両方にフルコミットしている
ビジネスウォリアーズ:HP

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