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大型バスの自動運転が実験スタート。乗ってみた感想と将来性

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 鉄道では昭和の時代から電車の自動運転が実用化し、ATO(Automatic Train Operation:自動列車運転装置)として、一部の地下鉄や新交通システムなどに導入されている。また、いつ頃からか、自動車業界も自動車の自動運転開発に取り組み、一部は実用化された。

相鉄バス

日本初、大型バスによる営業運行での自動運転実証実験を横浜で実施

 相鉄バスと群馬大学では2019年9月14日から10月14日まで、大型路線バス車両を使用した第1回実証実験がよこはま動物園正門―里山ガーデン正面入口間(約900メートル)で行なわれている。これが実用化されると「ABO」(Automatic Bus Operation:自動バス運転装置)と称されるのだろうか。

自動車の自動運転の定義はレベル1~5

 相鉄バスと群馬大学連名のプレスリリースおよび、国土交通省によると、自動車の自動運転レベルは1から5まである。レベル1、2はドライバーによる監視、レベル3はシステムとドライバー(一部)による監視、レベル4、5はシステムによる監視だという。

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・レベル1:運転支援
 前方の自動車などとの衝突を防止するため自動で止まる、前のクルマについて走る、車線からはみ出さないなど、いずれかの車両制御にかかる監視、対応を行なう。

・レベル2:部分運転の実用化
 高速道路で遅いクルマがいれば自動で追い越す、高速道路の分合流を自動で行なう。また、高速道路、一般道路に関係なく、車線を維持しながら前のクルマについて走るなど、両方の車両制御にかかる監視、対応を行なう。

・レベル3:条件つき運転の自動化
 限定領域内で、システムがすべての運転を実施する。ただし、システムの介入要求、システムでの運転困難な場合は、ドライバーが適切に対応する。

・レベル4:高度運転の自動化
 限定領域内で、システムがすべての運転を実施する。

・レベル5:完全自動運転化
 領域は限定されず、常にシステムがすべての運転を実施する。
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 群馬大学は2016年12月に次世代モビリティ社会実装研究センターを設立し、自動車の自動運転の実証実験を含めた技術開発に力を入れている。敷地内に自動運転研究用の設備があるほか、公道での実証実験も積極的に実施しているという。そして、2020年の段階で、日本のどこかにおいてレベル4の自動運転を実用化させていくことをターゲットに据えている。

 これが就労人口減少に伴う運転士不足への対応策として、自動運転技術の導入が不可欠と考える相鉄バスや相鉄ホールディングスの目に留まった。2019年4月に相鉄バスと群馬大学は、大型バスの自動運転に関する共同契約研究を締結。レベル4での営業運転を目指している。

全方位カメラとLIDAR…自動運転バスの概要

相鉄バス

相鉄バス渾身の一作といえる自動運転対応車

 車両は相鉄バスが日野自動車のブルーリボンを1台購入し、自動運転装置を付加する形で行なわれた。

相鉄バス

全方位カメラとLIDAR。また、冷房機の上にGNSSを搭載

 外観で目立つのは屋根上で、全方位カメラを搭載し、信号を認識。LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging:レーザー画像検出と測距)は、まわりの景色から車両の位置を把握する。GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)は、衛星からの電波を受け取る仕組みで、携帯電話よりも高性能で車両の位置を把握できる。

相鉄バス

レーザーセンサー

 車両の前面にレーザーセンサーがあり、前のクルマ、障害物、歩行者を検知したとき、自動で停車する。150メートル先まで検知可能だという。

相鉄バス

ノンステップバスなので、後方の席はハイデッカーと化す

 車内には自動運転関する機器類が搭載されているほか、モニターも設置。乗客は自動運転の様子を眺めることもできる。

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