ヤフーが名称変更。グループ再編のとき経営陣はどんな議論をしているか?
法律・人事面でこんなところが変わる
・法務&知的財産権面
法的義務・権利のうち何を旧会社に残し、何を新会社へ引き渡すのかを検討する。特に知的財産権面(商標等)では、ホールディング会社が引き続き所有をしたほうが、メリットが大きいため、慎重に議論を行う。
ホールディング会社が商標等を所有していれば、傘下の子会社でその商標等を利用させることが容易にできるため、ホールディング会社に知的財産権を引き続き所有させることが多い。
・人事面
誰を旧会社に残し、誰を新会社へ引き渡すのかを議論する。一般的には、個人名で議論するのではなく、部署ごとに議論をすることが多い。例えば経営企画機能や経理機能は旧会社に人材を残すが、その他の事業運営を担う営業・調達部署はすべて新会社へ引き渡すといった具合である。なお新会社へ移る社員は、所属する法人が変わることになるため、新会社へ転籍することに同意することを求められることが多い。
・IT面
いつまでのどのようなシステムの準備を行うか、どの程度の追加投資を行うかを議論する。会社の切り離しによって、これまで1社で完結していたITシステムを複数社で運用する必要が出てくる。会計システム、人事システム、受発注システム、顧客データ管理システムなどについて、旧会社・新会社の両方で整備をする必要が出てくる。
会社の切り離しによって生じた複数社分の各システムが適切に稼働し、ホールディングス会社とも適切にデータ共有ができている状態を新たに構築する必要がある。また、アクセス権の再設定も必要となってくる。これまですべての情報にアクセスできていた人間でも子会社(新会社)に引き渡された後はアクセス権が制限されるべきである。個別の事情を踏まえアクセス権を設定することも行われる。
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このように、グループ再編を行う際には、経営上層部で様々な観点から議論が行われるとともに、多額の費用をかけて準備が進められる。
10月1日から新しくグループ再編を行い、持ち株会社制をひいたヤフーグループ。Zホールディングスを扇のかなめとした、傘下会社各社の更なる成長が期待される。
※当記事に関連するいかなる損失(株式売買などにより生じる損失を含む)について筆者は一切責任を負いません。
<TEXT/小森ほうめい>