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セブンが米国で2.2兆円買収劇。コロナ禍で大勝負に出たわけ

ビジネス

 8月3日、株式会社セブン&アイ・ホールディングス(セブン&アイHD)の連結子会社であるセブン-イレブン(本社:テキサス州)が、米マラソン・ペトロリアムの株式を2兆2000億円で取得すると発表しました。

セブン

画像はイメージです

 譲受の対象となるのは、米国で主にコンビニとガソリンスタンドの併設店「Speedway(スピードウェイ)」ブランド。その対象店舗は、約3900店舗に及びます。今回は新型コロナウイルスにより、経済情勢の先行きが見えない中で、買収に踏み切ったセブン&アイHDの狙いを探ります。

セブンの歴史上でも大きな買収劇

 すでにセブン-イレブン・インクは約9800店舗を米国で運営していますが、2006年から2020年までの買収による合計店舗数が約3400店舗であることを踏まえると、今回の株式取得(すなわち買収)は、セブン-イレブン・インクの歴史の中では大きな決定であると言えるでしょう(参考:セブン&アイHDは、日本国内で約2万店舗を運営)。

 セブン&アイHDの2020年3~5月までの事業状況は、新型コロナウイルスの影響が直撃した時期であるものの、ホールディングス全体のグループ売上高(加盟店売上高を含めた数値)では、前年の同じ時期と比べて、91.9%を維持しています

 また、営業上の現金収益力を把握することができるEBITDA(営業利益+減価償却+のれん償却)も前年の同じ時期と比べ、主力であるコンビニ事業は、89.7%を維持しています。すなわち、新型コロナウイルスの影響が大きかった期間でも、他の産業と比較して影響が軽微であったということがわかります。

客単価の上昇で売上高を維持

Speedway

全米で展開するスピードウェイ

 特に、グループ全体の営業利益の約8割以上を占める主力である国内・海外コンビニ事業は外出自粛が拡がる中でも健在でした。日本では2020年3~7月にかけて、前年同月比の既存店売上高は、おおむね95%以上を維持。

 米国のコンビニエンス事業においてもガソリン販売を除く商品売上のみに着目すれば、同様に90%以上を占めています。なお、コンビニ事業が堅調だった背景には、国内・海外とも客数は減少しているものの、客単価が上昇しており、これが売上高の維持につながっています。

 客単価が増加した背景には、アルコール飲料の購入増加があります。特に海外では、アルコールの箱買い増加、冷凍食品(ピザ、おかずなど)購入増加、アイスクリームの購入増加が顕著であり、スーパーに代わるワンストップでの購入需要の取り込みに成功していました

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