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なぜユニコーン企業は赤字になるのか。生き残る企業の見分け方とは

ビジネス

 企業としての評価額(想定時価総額)が10億ドル(約1080億円)以上で非上場のベンチャーを指す、ユニコーン企業。GAFAを始めとして、数多くの大手IT企業が「ユニコーンから上場」といった流れで躍進している。しかし近年ではWeWork(コワーキングスペースを提供するユニコーン企業)をはじめ、元・ユニコーン企業であるUberやメルカリなどの赤字決算も相次いでいる。

Weworkホームページ

※WeWork 公式HPより

 どうして未来有望なはずのユニコーン企業は赤字になってしまうのだろうか。そして、これらの企業に就職を目指す学生や投資家は、“赤字決算でも将来性のあるユニコーン企業”をどうやって見抜けばよいのだろうか。今回この疑問を解消すべく、bizSPA!取材班では専門家に話を聞くことにした。答えてくれたのは株式会社フィスコグループの馬渕磨理子さんだ。

メルカリとUberが赤字の理由とは

Uberスクリーンショット

※画像はイメージです

――ユニコーン企業はなぜ赤字に陥るのでしょうか。

馬渕磨理子(以下、馬渕):大きな理由としては、マーケティング費用があります。ユニコーン企業は知名度勝負であるために、いかに利用者の裾野を広げるかがカギになります。

 もう一つには、研究開発費です。最近ではAIや自動運転などの技術開発が進んでいるため、先行投資の費用がかさんで赤字計上する傾向にあります。

――直近では、上場前のメルカリとUberの赤字決算が印象に残っています。各社とも知名度があり、そんなに巨大な赤字を計上しているようには感じなかったのですが……。

馬渕:メルカリは日本では好調ですが、アメリカでの不振や、メルペイの費用がキャッシュレス戦争でかさんだことが原因と考えられます。Uberは契約しているドライバーに手数料の8割を支払っていることと、自動運転の研究開発費が影響しています。ドライバーが高配当な収入を受け取れるのも、事業拡大のためのマーケティング戦略といえます。また、自動運転が実現すれば1兆円規模の事業となる可能性があるため、Uberは積極的に先行投資を行っています。

――こういった経営モデルがうまれたきっかけはどのようなものですか。

馬渕:Amazonの影響が大きいでしょう。Amazonは創業以来赤字でしたがマーケティングと研究開発が軌道に乗り、2003年に黒字化し、その結果80兆円近い利益を手に入れました。

 こういった巨大な成功事例が生まれたことで、「赤字を垂れ流しても成功する」といった風土がユニコーン企業の経営サイドに根付いたといえます。また、ユニコーン企業にはVCなどの投資により潤沢な資金があるので、赤字決算でも、ある程度許されている傾向にあります。

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