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「SNSは人を孤独にする」男たちの“居場所”をユーモラスに描いた監督に聞く

 先月6月に横浜で開催されたフランス映画際のオープニングを飾った『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』が公開中だ。本国フランスで公開6週目にして400万人以上も動員し大ヒットを飛ばした本作は、“中年の危機”に差しかかった男たち8人がシンクロナイズド・スイミング(アーティスティック・スイミング)にチャレンジし、世界一を目指すというコミカルなストーリー。

シンクオブ

©2018 -Tresor Films-Chi-Fou-Mi Productions-Cool industrie-Studiocanal-Tf1 Films Production-Artemis Productions

 日本の映画『ウォーターボーイズ』(2001)を彷彿とさせる物語だが、本作の登場人物は、毛もくじゃらでたるみきったワガママボディをさらすアラフォー&アラフィフのオジサンたちばかりだ。

 ヨーロッパが誇る演技派俳優を集めたこの作品の監督/脚本を務めたのは、『プレイヤー』(2012)、『セラヴィ!』(2017)、『ナチス第三の男』(2017)などで個性的な演技を見せた人気俳優ジル・ルルーシュ。今回は、フランス映画祭で来日した彼に、“中年の危機”や映画制作について話を聞いた。

“中年の危機”は誰にでも訪れる

――シンクロチームの8人の男性ひとりひとりには、ルルーシュ監督の性格が反映されていると聞きました。俳優や脚本家として成功を収め、本作も大ヒットし、しかもハンサムな監督ですが、彼らのように“中年の危機”を感じたことがあるのですか?

ジル・ルルーシュ監督(以下、ルルーシュ):まさに今、中年の危機真っ只中にいますよ!(笑)俳優なんてやっていると、めちゃくちゃ中年の危機を感じますね。年を取ることは、男の俳優にとっても恐ろしいことなんです。白髪やぽっこりお腹を見るとどんどん人前に出たくなくなるし、若いころに演じていた役ができなくなるのでは、という不安に駆られます。ただ、この映画でそういった不安を表現することができたので、ある意味、セラピーを受けたみたいに癒されたかな。

――『潜水服は蝶の夢を見る』のマチュー・アマルリック、『ザ・ビーチ』のギョーム・カネ、『王妃マルゴ』のジャン=ユーグ・アングラードなど、フランス映画ファンにはたまらない芸達者な役者がそろっていますが、ルルーシュ監督ご本人は出演しようとは思わなかったのでしょうか?

ルルーシュ:ははは。そもそも海水パンツ姿で監督は務まらないでしょう?!(笑)監督の業務が多すぎて、役者と両立することは難しいと思いましたね。これほど多くの俳優が出演していますから、彼らをまとめながら演技をするのは私にとっては不可能でした。古い考え方かもしれませんが、今回の作品では監督業に集中したかったんです。

――マチュー・アマルリックやギョーム・カネは監督経験もありますよね。演出や撮影方法で彼らと議論などはありましたか?

ルルーシュ:意見の相違は全然なかったですね。むしろ、彼らは監督がいかに孤独な立場におかれているか知っていますし、私のメッセージを深く理解してくれていたので、すべてが上手く行ったと思います。プールのシーンは夜の寒いときが多かったのですが、監督経験があったからこそ彼らは文句ひとつ言わずに頑張ってくれましたよ。

仕事や家庭以外の“第三の居場所”が必要

シンクオブ

©2018 -Tresor Films-Chi-Fou-Mi Productions-Cool industrie-Studiocanal-Tf1 Films Production-Artemis Productions

――登場する8人の男性たちは皆仕事や家庭で問題を抱えていますが、仕事や家庭とは違う場所、シンクロという“第三の居場所”を見つけることで救われました。監督にも、こういった“第三の居場所”があるのでしょうか?

ルルーシュ:脚本を書くことが私にとっては“第三の居場所”というか“逃げ場”かもしれません(笑)。パーティーにいてもなにかひらめいたら家に戻り、脚本を書きます。そういった“純粋な喜び”を得られる場所は誰もが必要としているのでは?

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