「クソデブ!」と罵倒されても…肥満女子がアイドルになった理由
細くて可愛らしいというのは、おそらく一般的な“アイドル像”といえるかもしれません。しかし、そんな世間のイメージとは裏腹に、ぽっちゃりならぬ“デブ”でもアイドルになれるという、王道を覆したユニットがあります。
メンバー3人の総重量は278kg、ライブやYouTubeを軸に“肥満落下系堕天使アイドル”を名乗り、活動を続ける「びっくえんじぇる」です。
いつの日か、スリムになって天界へ戻るために「歌って!踊って!痩せて」をモットーとして、2018年4月29日(肉の日)に結成した彼女たち。現在までの道のりなどを、伺いました。
アイドルに「体型は関係ない」
――初登場ということで、まずはお一人ずつ自己紹介から。
大橋ミチ子(以下、大橋):じゃあ、私から。体重が100kgの唐揚げ担当。みっちゃんこと、大橋ミチ子です!
橋本一愛(以下、橋本):体重が80kgの白米担当。いのりんこと、橋本一愛(いのり)です!
多田えり(以下、多田):体重が98kgのマヨネーズ担当。えりぴよこと、多田えりです!
――現在は“びっくえんじぇる”としてみなさん活動していますが、それ以前はどのような経歴を歩んでいたのでしょうか?
大橋:私はもともと、いのりんと一緒にぽっちゃり系アイドルユニット「Pottya(ポッチャ)」のメンバーとして活動していました。マヨネーズ担当のえりぴよも、一人でアイドルをやってたんだよね。
多田:事務所には所属せず、フリーで活動していましたね。途中でユニットを組んだこともあったけど、3年ほどは一人でアイドルとして歌ったり踊ったりしていました。
橋本:私は中学時代から地下アイドルの現場に通い詰めるほど憧れていて、Pottyaへ加入するまでにも、地元にあるユニットのメンバーとして活動していたんです。ただ、当時は他のメンバーが、ガリガリで……。
衣装も自分だけ前が締まらないことがあったり、だんだんと「他に活躍できるグループはないか」と思い始めて、たまたま見かけたのがPottyaの二期メンバーオーディションでした。それを経て、今に至るという感じです。
憧れのアイドルの存在
――それぞれ憧れていたアイドルの方はいらっしゃったんですか?
大橋:私はもともとは女優になりたくて上京して、芸能活動を始めてから、アイドルの世界を知った感じだったので、特に憧れのアイドルさんっていうのはいなくて。
上京から紆余曲折もありながら『la farfa』(ぽっちゃり女子向けファッション誌)の専属モデルになり、太っていても「アイドルになれる」「なって何が悪い」と思って、Pottyaで活動していくうちに徐々に憧れが強くなっていったんですよね。
自分なりに見せ方を研究するようになってからは、元AKB48・大島優子さんが好きになり、表情や仕草を参考にしつつ元気をもらっていました。
橋本:私はもともとAKB48グループさんが好きで、その流れで地下アイドルへ傾倒していった感じです。最初に入ったアイドルユニットも、初めはお客さんとして見に行っていたんですけど、握手会などへ参加するようなってから「私もこのステージに立ちたい」と思うようになって。気が付けば、自分もアイドルになっていました。
ちょうどその頃から憧れているのは、篠崎愛さんですね。自分の中では“神”に近い存在なんですけど、当時は「AeLL.」というユニットに所属されていて、ちょっとぽっちゃりなのに歌も上手だしアイドルとして完璧。今もアルバムをしょっちゅう聴いてるし、こうなりたいと思える理想的な人です。
多田:私にとっての憧れは、モーニング娘。さんをはじめとするハロー!プロジェクトのみなさんでした。ちっちゃい頃から体型をイジられたり、誰かから「デブ」と言われるような、はたから見れば“イジメ”のような経験もあったんですけど、ずっと歌や踊りをマネしたりしていました。