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「SKJ Village」が大手企業の安定を捨ててゲーム実況YouTuberになった理由

ビジネス

 かつては色モノ扱いだったYouTuberが、今や子供たちの「なりたい職業ランキング」の上位にランクインしている。UUUM、VAZなど彼らをマネジメントする企業まで誕生し、HIKAKINやフィッシャーズなどは子供たちから圧倒的支持を集めている。

 慶応、早稲田、上智という有名大学から大手企業に就職し、サラリーマン生活を送っていた3人組が、一念発起し、YouTuberに転身した「SKJ Village」を知っているだろうか?

SKJ Village

SKJ Villageの3人。左からsa2、サイカツ、シンカ

 sa2、サイカツ、シンカの3人は、共同生活をしながら、任天堂の対戦型アクションゲーム「大乱闘スマッシュブラザーズ(スマブラ)」に特化したゲーム実況や検証動画を配信。2018年5月に開設されたチャンネル登録者数は、わずか1年で4万4000人を突破。

 まさしく、自力で人生を切り開こうと邁進しているニューカマーたち。そんな20代の若者3人組が人気YouTuberになるまでには、どんな紆余曲折があったのだろうか。

「一旗揚げるなら、絶対この3人でやりたい」

――単独ではなく、この3人でYouTubeをやろうと思ったきっかけを教えてください。

sa2:僕たち3人は同じ高校の同級生なんです。昔風に言うと竹馬の友みたいなもので、何でも気兼ねなく相談しあえる関係というか。それで、僕が発起人となって「俺たち3人でYouTuberになろうよ」と、サイカツとシンカに持ちかけました。

――具体的な話をしたのは社会人になってからのことですよね。

sa2:そうです。高校は同じでしたが、僕は慶応大学に進学して、サイカツは早稲田でシンカが上智に入学しています。それぞれ大学はバラけてしまったので、高校時代のような濃い付き合いは一時的にできなくなりました。でも、YouTubeで一旗揚げるなら、絶対この3人でやりたいと思っていたので。

――毛利家の「三本の矢」のように3人が協力し合えば何とかなる、みたいな?

sa2:そうですね、だからもう背水の陣って感じです(笑)。とにかくYouTubeでちゃんと収益を上げられるようになって、早く成功したいと考えていました。「もしダメだったらどうしよう!?」というネガティブな気持ちも正直少しはあったけど、「とにもかくにも始めちゃえ」みたいな感じです。

仮想通貨をやるなど情報通だった

SKJ Village

「仮想通貨をやったら、普通に損した」(サイカツ)

サイカツ:sa2は頭脳明晰で先見の明があるタイプなんですよ。それにサラリーマンではない生き方をしたいねって、常々3人で話していましたからね。しかもsa2は、僕らとYouTubeをやる前から仮想通貨をやっていたので、いろんな意味で情報通でもありました。

――まさか、「億り人」の経験者ですか?

sa2:ちょうどビットコインバブルの時期でしたが、さすがに億り人まではいきませんでした。まあ多少は儲けさせていただいたと記憶しています。それでサイカツにも教えてあげたら、そこから一気に急落しちゃって……。

サイカツ:タイミングが悪すぎたというか、僕は普通に損しました(笑)。

安定を捨ててYouTubeに飛び込んだ理由

SKJ Village

SKJ Villageの3人が動画の編集を行っている場所

――みなさんサラリーマンをやっていたわけで、安定した職を捨ててまで、何の保証もないYouTuberになるという決断は並大抵のことではないと思いますけど。

サイカツ:僕たち3人は「こうやったら生きていける」というプロセスがある程度、描けていたと思うんです。だから僕自身は納得もしてたし、sa2とシンカも不安や心配に苛まれるよりも期待のほうが大きかったんじゃないかな?

――なるほど。ちなみにサイカツさんが勤めていたのは何系の会社ですか?

サイカツ:僕は●※△■という医療機器メーカーで営業マンをしていました。

――おおっ、世間でよく知られている上場企業じゃないですか。

サイカツ:でも、僕は会議とかあんまり好きじゃなくて。上司や先輩と打ち合わせしている時間もムダにしたくないというか、「話はいいから早く営業に行かせてください」みたいなせっかち系のタイプでした。だから、どのみち、組織人であることが求められるサラリーマンは長続きしてなかったかも知れません。

会社員として働きながらYouTuberも

SKJ Village

SKJ Villageの動画の撮影はこちらで行っている

――sa2さんとシンカさんは?

sa2:エネルギー事業に関連する企業に籍を置いていました。新卒入社の場合だと40歳くらいまで頑張って働いて、そこから役職に就くことができれば、年収1000万円に手が届くような給与体系でした。ただ、それもずっと後の話なので、未練はないですね。

シンカ:自分は石油関係の会社です。ちなみにまだ在職中なんですよ。

――シンカさんは今も会社に在職中なんですか!? 

シンカ:はい。僕は大学院に進学してから就職したので、ちょっと周回遅れというか(笑)。でも退職することが決まっているので、もう少ししたら晴れてSKJ Village一本でやっていくつもりです。

給与や出世が後回しになることが不安だった

sa2:僕の場合は、幸運にも希望していた企業のやりたかった部門に入ることができたので、不満は微塵もなかったし、会社には感謝しかありませんでした。だけども「この先、何十年も同じ仕事を続けられるのかな?」という不安な気持ちも同時にあって。

 これはサラリーマンになってから感じたことですが、この仕事ってめちゃくちゃ頑張っても、給与や出世とか実際の評価って、すごく後回しにされるじゃないですか。あまりにも時間がかかり過ぎるというか、ぶっちゃけモチベーションを40歳まで維持するのは無理かも知れない、と考えていたんです。

――なるほど。YouTuberになればすぐに結果が出ますからね。ちなみに現在の収入ってどれくらいあるのでしょうか。

サイカツ:実は収益が出るようになったのは今年に入ってからなんです。それまでは赤字というか、ほとんどゼロに近い状態でした。今のスマブラ動画がバズってから、ようやくサラリーマンの月給分くらいは各々もらえるようになった感じです。

「スマブラ」一本に絞り込んだのは戦略

SKJ Village

6月1日よりUUUM株式会社への加入が決定

――そのスマブラですけど、一本に絞り込んだのはどんな理由が?

シンカ:YouTuberになったはいいけど、僕らが「さて、何しようか」って困っていた時期に、ちょうど子どもの頃によく遊んでいた「スマブラ」の最新作が発売されて。これは、渡りに船というか、タイミング的にドンピシャでした。それでリーダーのsa2が「スマブラで行こう」となったので。

sa2:男3人組が共同生活をしながら、とことん同じゲームを突き詰めて配信しているグループって、僕たち以外にいないんですよ。これだけ多種多様なYouTuberが世界中にいて、試行錯誤しながら日々視聴者の奪い合いをしているなか、僕らのような一点突破型のスタイルって、ライバルと差別化できるうえに、強みにもなると思うんです。

 それに、従来のゲーム実況をやっている人たちって、ほとんどオンラインゲームが主体ですし、ボイチャでコミュニケーションを取りながら配信していますよね。

――そうですね。

sa2:僕たちの作るスマブラ動画は「このゲーム実況って新感覚かも」というポジティブな認識のされ方を目指しています。今後も視聴者さんたちにドンドンSKJ Villageの動画を浸透させることができれば、もっとメジャーになることも夢じゃない気がしています。

――なるほど。志は高く持て、と言いますからね。

SKJ Village:ありがとうございます!

<取材・文/永田明輝>

【SKJ Village】
sa2、サイカツ、シンカの3人組からなるYouTuber。高校時代の親友で「早稲田・慶応・上智」大学にそれぞれ進学。大手企業に就職→退職後、現在3人で共同生活中。ゲーム実況、検証、企画などを配信している。6月1日よりUUUM株式会社に加入

関西でよく売れていた某実話誌の編集を経てフリーライター化。愛好するジャンルは裏社会・心霊オカルト陰謀論・フィギュアおもちゃなど