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体操日本代表、23歳・内山由綺がコロナ禍で知った「新しいスポーツ支援の文化」

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 長引くコロナ禍の影響で1年延期となった東京オリンピック。開催の可否はまだはっきりとしていないが、日本オリンピック委員会(JOC)の公式スケジュールによれば、開会式は7月23日に新設されたオリンピックスタジアムで行われる予定だ。

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内山由綺選手。インタビューはオンラインで行われた

 そうした中、2016年のリオオリンピックに出場し、体操女子団体で4位入賞を果たした内山由綺選手(23歳・@aae847c5cb9540d)がいる。内山選手は特定のクラブチームに所属はせず、母親と二人三脚で険しい体操人生を歩んできた。

 反抗期は体操を巡って衝突もあったという親子関係から、意外な趣味のことまで。そしてアスリートを応援する新たなギフティングサービスに参加したこと。さらに東京オリンピックに賭ける熱い想いを語ってもらった。

本格的に体操を始めたのは6歳

――内山選手が体操競技を始めたきっかけを教えてください。

内山由綺(以下、内山):私がまだ幼少のころ、すでに体操コーチとして活動していた母(内山玲子さん)に、体操の練習場がある体育館へ連れて行かれることがよくありました。

 そこで練習風景を眺めていたら、トランポリンがすごく楽しそうに見えて。あれで遊びたいから使わせてと母にお願いしたのですが、「体操選手しか使っちゃダメ!」と言われました(笑)。

 だったら私も、あの面白そうなトランポリンを自由に使える体操の選手になりたいと思うようになって。それで6歳から本格的に体操を始めました。

――子ども心に刺さったトランポリンが体操の道につながったのですね。

内山:母はコーチの他に体操の国際審判もやっていました。その関係もあって、私が体操選手を目指すようになってから、プロのアスリートやオリンピックに出場経験のある選手のみなさんと触れ合う機会に恵まれたと思います。

 まだ子どもでしたが、そうした一流の方々からたくさんの良い刺激をいただけました。おかげさまで、体操選手としての将来に不安を感じたことはほとんどありません。むしろポジティブというか「私なら大丈夫!」という気持ちのほうが強かったです。

体操で築き上げた親子の絆

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©wasedasports.com

――現在は母親の内山玲子さんと、二人三脚で練習されているとお聞きしました。

内山:そうです。ただ、早稲田大学への進学を機に、一旦は母の元を離れて練習環境を変えてみようと思っていました。それで、ずっとお世話になっていた体操クラブの菅原寛先生(戸田市スポーツセンターコーチ)に相談したのですが、私が母と離れることに賛成しないと言われて。

 実は菅原寛先生も親子で体操競技を教えていて、自分のお子さんである菅原リサ選手をアトランタ五輪日本代表選手にまで育て上げた方でした。

 先生は、他のクラブでやれば単純に強くはなれるかもしれないけど、これまで体操で築き上げた親子の絆も大事。もし少しでも迷いがあるなら、最後までお母さんといっしょに練習したほうがいいとおっしゃいました。

 それとこの先、インターカレッジ(全日本学生体操競技選手権大会)や、東京オリンピックで母と二人三脚の努力が結実すれば、その喜びは何ものにも代え難いことだと。実際にインカレ女子2部で個人総合4連覇を達成できたのは、母との練習の賜物だと思いますし、喜ぶ母の姿を見ていると師事を仰いで本当に良かったと思いました。

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