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『俺スカ』で好演の古田新太が「プライドをへし折られた」2人の名女優

暮らし

クドカン脚本「あのドラマ」で再ブレイク

 ショックのあまり俳優業を辞めてしまう人もいるでしょうが、古田さんは違いました。長年、演劇を観続けている、あるライターはこう語ります。

「ちょうど1990年代中盤~後半は小劇場ブームの第五世代が活躍。今では、老舗劇団となった大人計画(松尾スズキ)やナイロン100℃(ケラリーノ・サンドロヴィッチ)などが台頭した時代です。古田さんはこのブームのなかで、メインも脇役もこなせる“味のある”俳優として起用されていきました」

 着実に舞台で力を蓄え、独自の個性を獲得していった古田さん。2000年4月には宮藤官九郎さんが脚本を担当した『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系)に出演。「シシシシ…」と不敵に笑って長い金髪をかきあげる覚せい剤の売人、という強烈なキャラクターを演じて注目を浴びます。

 その後、テレビドラマや映画に引っ張りだことなり、再ブレイクを果たした古田さん。2003年には「第37回ザテレビジョンドラマアカデミー賞」で助演男優賞、2010年には「第45回紀伊國屋演劇賞」で個人賞を受賞。個性的というだけでなく、その演技力も高い評価を受けています。

なぜ古田新太は起用され続けるのか?

起用

 7月からは深夜ドラマ枠「ドラマ24」の『I(アイ)ターン』(テレビ東京)で、ムロツヨシさんとW主演を務めることが発表されている古田さん。なぜ数多くの俳優たちのなかから古田さんが起用され続けるのでしょうか?

「ます宮藤(官九郎)さんをはじめとする、同時代に世に出たクリエイターが活躍し続けているのがひとつ。また、その作品に影響を受けた若い世代が、業界に入り、古田さんを起用したいと考えるところも大きいでしょう。とはいえ、最終的にはシリアスからコメディ色の強いキャラクターまで演じられる、古田さんの演技力が信頼されているということだと思います」(前出・同ライター)

 東京に進出したことで思わぬ挫折を経験した古田さん。しかし、その挫折こそが、唯一無二の役者を生み出すきっかけだったのかもしれません。

<TEXT/鈴木旭>

フリーランスの編集/ライター。元バンドマン、放送作家くずれ。エンタメ全般が好き。特にお笑い芸人をリスペクトしている。個人サイト「不滅のライティング・ブルース」更新中

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