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大塚家具とニトリの明暗を分けたもの。「企業の効率性・安全性」で比較

ビジネス

 経営者目線で仕事ができる、経営のイロハを学べることを期待してコンサルティング会社に入社する方々がいます。

ファイナンス

※画像はイメージです

 学生に人気の就職先、コンサルティング業界の意外と知らない事実を教えるこの連載。前回は損益計算書の「5つの利益」を知るだけで、企業の経営状態をある程度読みとくことが可能になることを、日本たばこ産業株式会社(JT)の実例を通して紹介しました。

 今回は、実際に特定の会社の貸借対照表を見る際には、どこに着目すればよいのか、そして貸借対照表を見て何がわかるのかについて説明してまいります。貸借対照表を見てわかることは多岐にわたりますが、ここでは、

①企業の効率性
②企業の安全性

 に焦点をしぼり、大塚家具 株式会社(以下、大塚家具)を例に見ていきましょう。

【第13回】業績低迷の大塚家具、販売効率の悪さ

「お家騒動」で世間をにぎわせた大塚家具ですが、売上高と利益は2008年のリーマン・ショックを境に低迷し続けています。2011年に当期純利益は黒字化しますが、2016年からは再度大幅な赤字に転落し、現在まで黒字化できていません。

大塚家具

■低迷を続ける大塚家具の売上高と利益率(出典:同社有価証券報告書より弊社にて作成)

 この現象は、家具小売業界全体で起こっているのではありません。例えば株式会社ニトリ(以下、ニトリ)を見ると、2015年以降は年平均11%も売上が伸びています。大塚家具が歴史的な赤字を記録した2017年を見ても、ニトリの売上高は過去最高の5129億円、売上総利益率は54%、営業利益率は16.7%。大塚家具とは対照的です。

大塚家具

■大塚家具とニトリの利益率の比較(2017)(出典:各社、有価証券報告書の数値より弊社にて作成)

 2017年の両社の利益率を見ると、売上総利益率は大塚家具51%、ニトリ54%と、ともに大差はありません。しかし、店員の人件費や賃借料など、販売費および一般管理費を差し引いた営業利益率は、大塚家具はマイナス12.5%なのに対して、ニトリは16.7%と大差をつけられています。

 言うなれば、両社ともに同程度の利益率の商品を販売しているにもかかわらず、大塚家具は人件費や管理費用などにかかる費用が重く、販売効率が悪いために赤字になっていると言えます。

「在庫販売日数」でニトリと比較してみると

 販売効率性の代表的な指標として「在庫販売日数」というものがあります。在庫を仕入れてから販売するまでにどの程度の期間を要しているのかを表す指標です。

 ニトリと大塚家具の在庫販売日数を確認すると、ニトリが2か月程度で在庫を販売しているのに対し、大塚家具は6か月以上もかかっていることがわかります。

大塚家具

■大塚家具とニトリの在庫販売日数(出典:各社、有価証券報告書の数値より弊社にて作成)

 1969年に設立し、高級家具ブランドとしての地位を確立した大塚家具は、一人ひとりの消費者に対して商品知識豊富な販売員が手厚い接客を行うスタイルが特徴でした。対して、お家騒動後、15年1月に復帰した大塚久美子社長が打ち出したのは会員制の廃止、商品構成の中価格帯までの拡充でした。

 価格帯が以前よりも低い商品を扱うということは、販売効率を上げないと、同水準の売上と利益を確保することはできません。しかし、大塚家具の在庫販売日数は中長期で見ても向上していることが確認できません。戦略と現場オペレーションとの不整合が、近年の売上と利益のさらなる転落を招いているのだろうと推察できます。

大塚家具

大塚家具© Rodrigo Reyes

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