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「ノー残業デー」に残業して負傷した…これって労災おりる?

学び

 厚生労働省が毎月勤労統計を不正な手法で調査していたことが明らかになり、国会で激しい論争が交わされています。

 統計不正の結果として、私たちの雇用保険や労災保険の給付額が、本来の水準よりも少なくなったケースが多くあると言われています。そもそも「労災保険」とはどのような制度で、どんなときに受け取れるのでしょうか?

統計 資料

※画像はイメージです(以下同じ)

 まず国による労災保険から給付を受けることのできる災害は、大きく2つに分類されます。

 1つ目は労働者が業務を原因として被ったケガ、病気、死亡など。これを「業務災害」と言います。2つ目は労働者が通勤によって被ったケガ、病気、死亡などです。これを「通勤災害」と言います。

 申請して労災と認められることにより、治療費が無料になったり、治療のため会社を休むときは休業補償を受けることができ、障害や死亡に対する補償もあります。

 それではこんなケースではどうなるのでしょうか? まず業務災害から見てみましょう。みなさんも考えてみてください。

業務災害:残業時間中に作業所で怪我した

 所定労働時間内や残業時間内に、事業所施設内で仕事をしているときにケガをした場合はどうでしょう。

 これは労働者の業務としての行為や、施設・設備の管理状況などが原因となるものと考えられるため、特段の事情がない限り業務災害と認められるでしょう。

 ただし、労働者が私的行為を行っていたとき、故意であったとき、個人的なケンカなどによりケガをした場合などは業務災害とは認められません。

 病気については、業務との因果関係が重要です。業務災害と認められるためには、次の3要件が満たされていることが必要だと言われています。

 1:労働の場に有害因子(物理的因子、化学物資、身体に負担の大きい作業、病原体など)が存在すること
 2:健康に障害が出るほどの量、期間にさらされたこと
 3:発症の経過と病態が医学的に妥当であること。発症した病気が業務と因果関係のあるものであれば、業務災害として認められることになります。

通勤災害:会社帰りに寄り道をして怪我した

白背景で腰痛に悩む女性OL

 次に通勤災害です。

 通勤災害として認められるためにも条件があります。まず、就業に関し、住居と就業の場所との間の往復であること。続いて、就業の場所から他の就業の場所への移動であること。

 最後に、住居と就業の場所との間の往復に先行し、または後続する住居間の移動(単身赴任者の場合)であり、加えて合理的な経路及び方法をとっていることです。

 また、移動の経路を逸脱し、または中断した場合は、逸脱または中断の間およびその後の移動は、通勤とはなりません。ただし、これには例外が定められていて、日常生活上必要な行為や、厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由で行う場合は、逸脱・中断の間を除き、合理的な経路に戻れば再び通勤として扱われます。

 具体例を挙げると、会社帰りに寄り道をして映画を見に行く場合などは逸脱とされ、その後は通勤とはなりませんが、経路上のトイレを使用する、タバコやジュースを買う、病院で診察を受ける、選挙権の行使、親族の介護に立ち寄るなどは例外として認められ、その後、合理的な経路にもどれば通勤となります。

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