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なぜ芸人クロちゃんは視聴者に受け入れられたのか?――ミレニアル世代が見た2018年

コラム

──さまざまな出来事があった2018年。

 前回に引き続き今回もミレニアル世代が見た、この1年間のトピックを振り返る。登場してもらうのは、1990年生まれの放送作家、白武ときおさん(@TOKIOCOM)、1989年生まれの編集者もてスリムさん(@moteslim)。

カルチャー

左から、もてスリムさん(編集者)、白武ときおさん(放送作家)

 業種も異なり、普段の仕事で扱うジャンルも異なる2人に、それぞれの視点から2018年を語ってもらった

分断された社会と「よく知らない流行語」

もてスリム(以下、もて):引き続き2018年の話題を振り返っていこうと思うんですが、正直こういう企画ってどんどん成立させづらくなっている気がするんです(苦笑)。

 社会の分断が加速していて、みんなで振り返れるものがそもそもなくなっているというか。検索のアルゴリズムによって自分の見たい情報しか見えなくなる「フィルターバブル」や、同質的な人びとに囲まれることで自分の意見を正しいと思ってしまう「エコーチェンバー」という現象は数年前から話題になっていますが、年々激化しているように思います。

白武ときお(以下、白武):たしかに仕事で上の世代の人と話していると、TwitterのようなSNSを使っていない人とはどんどん話しづらくなっていくのを実感します。幻冬舎の箕輪(厚介)さんやはあちゅうさんの話とかって、Twitterを見ていないとまったくわからないじゃないですか。一部の人たち以外、どんどん意味のわからない話題が増えていきますよね。

もて:こういう場で“流行語”を振り返ってもいいんですが、みんなが認める流行語自体が少なくなっている気がします。ここ数年のユーキャン新語・流行語大賞も、流行語そのものというより「よく知らない流行語」がたくさん挙がっていることが話題になっている印象があります。もちろん、恣意的に選ばれているものもたくさんあるのだと思いますが。

白武:よくわからない単語が入ってるなと思うときはありますね。昔はみんながテレビを見ていたからそれでよかったわけですよね。

もて:みんながテレビを見ることで「社会」が形づくられていたわけで。もちろんいまもテレビの影響力は大きいですけどね。でも多くの人はネットを見る時間のほうが長いでしょうし、それぞれが見ているネットのコミュニティのなかで共通言語がどんどん豊かになっていってしまうから。

白武:「#Metoo」くらい話題になっているものでも、人によって全然認識が違っていたりもする。どんどん行間を読むことが難しくなっているなと思います。

更新されない「未来の東京」のイメージ

東京都

白武:山手線の新しい駅名が「高輪ゲートウェイ」と発表されたり、大阪の駅のリニューアルデザインが奇抜なものだったり、去年は公的な機関が発表したネーミングやデザインがことごとくダサいと批判されていた印象があります。

もて:「高輪ゲートウェイ」は公募を謳いつつも結局、たくさん集まった案ではないものが採用されたことも話題になっていましたね。

白武:ぼく自身もダサいなと思いつつ、一方では「天王州アイル」や「東京テレポート」のことをダサいとも思わないレベルになっているので、意外と一般化してしまうのかなという気もしました。

もて:「未来」のイメージが更新されていないからこういう問題が生じていると思うんですよね。それこそ「東京テレポート」の時代から未来っぽい都市のイメージが変わっていないというか。チューブの中を空飛ぶ車が移動してるとか、数十年前のSF的なイメージのまま未来像が止まっている気がして。

白武:せめて『AKIRA』とか『ブレードランナー』ならいいんですけど、「ゲートウェイ」か……みたいなところはありますよね。

もて:2020年の東京オリンピックに向けて『AKIRA』がまた引っ張り出されているのも印象的で。結局、「未来の東京」に対する想像力もその時点から更新されていないというか。

白武:大阪駅も東京オリンピックのキャラクターも、もうちょっと未来にいってほしいなという。まあぼくがマジョリティなわけではないので、自分が親近感を覚えられないほうが正解なのかもしれませんが……。

もて:人工知能しかりブロックチェーンしかり、テクノロジーそのものはどんどん進んでいくんですけどね。企業から出てくるビジュアルイメージはデジタル空間を光の帯が飛び交うとか空中にディスプレイが浮かび上がるとか、昔から変わっていない印象があります。

 もっとも、これも先ほどの分断と似たような話で、享受するコンテンツがバラバラになっているから共通の未来像も持ちにくいのかもしれません。