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ミレニアル世代が振り返る2018年。霜降り明星、ローラ発言、アジアの音楽…

コラム

──さまざまな出来事があった2018年。

 この企画ではミレニアル世代が見た、この1年間のトピックを振り返る。登場してもらうのは、1990年生まれの放送作家、白武ときおさん(@TOKIOCOM)、1989年生まれの編集者もてスリムさん(@moteslim)。

白武もて

左から、もてスリムさん(編集者)、白武ときおさん(放送作家)

 業種も異なり、普段の仕事で扱うジャンルも異なる2人が、それぞれの視点から2018年を語ってもらった

日本からアジアへ。音楽は広がる

もてスリム(以下、もて):ぼくは雑誌『STUDIO VOICE』の「アジアの音楽」特集に携わっていたこともあって、2018年は海外に行く機会が非常に多かったですね。だから音楽に限らず中国や韓国のトピックが印象に残っていて、逆に日本のことに追いつけていない気がしています。

白武ときお(以下、白武):アジアの音楽ってどれくらい盛り上がってるんですか?

もて:2015年に立ち上がった「88rising」というメディアプラットフォームは、いま世界的に見てもかなり注目されていますよね。2018年の「Summer Sonic」にも88risingがプッシュしている成都出身のグループHigher Brothersや、京都出身・シカゴ在住のミュージシャンSEN MORIMOTOが出演していました。

 11月には宇多田ヒカルが中国と韓国、ベトナムのラッパーをフィーチャリングした楽曲を発表していますし、これは日本でも非常に注目されていると思います。今年の1月頭には88risingとして初の来日公演も行なわれ、客層も非常に多様で英語・中国語・韓国語が飛び交っていたことが話題になっていましたね。

※88RISING – Midsummer Madness ft. Joji, Rich Brian, Higher Brothers, AUGUST 08「JojiやRich Brianなど88risingを代表するアーティストたちが勢揃いのサマーチューン。1月に行なわれた来日公演ではJojiの出演がキャンセルとなってしまったものの、観客とともにこの曲を大合唱する一幕も」(もてスリム)

白武:『STUDIO VOICE』でもそういったアーティストを取り扱っていたんですか?

もて:いや、『STUDIO VOICE』ではもう少しオルタナティブなアーティストやシーンを特集していて、タイのヒップホップを大々的に特集していたり。日本だとタイのヒップホップの情報に触れる機会ってあまりないと思うんですが、YouTubeで2億回再生されている曲もあったりして盛り上がりがすごいんですよ。

白武:ピコ太郎さんの「PPAP」が1億回再生とかですよね? すごい!

もて:タイのヒップホップはTBSラジオの「アフター6ジャンクション」でも特集されていて、『STUDIO VOICE』でもご協力いただいたOMK(ワンメコン)プロジェクトの一員、stillichimiyaのYOUNG-GさんとMMMさんが出演されていました。

 こちらも1月にカルト的人気を誇るラッパーJUUが来日していますし、2019年も国を越えた交流がどんどん増えていくんじゃないかと思います。白武さんの周りでも中国やアジア圏の話題になることってあるんでしょうか。

※JUU – งง งง ปลง ปลง|タイラップの重鎮。「ルークトゥンなどタイの歌謡曲を取り入れた唯一無二のスタイルが高く評価されており、タイには数多くの熱狂的なファンもいる。1月には自身が見出した女性ラッパーG.JEEを連れて来日し、東京と大阪でライブを行なった」(もてスリム)

テレビは海外よりもネットとどう連動するか

白武:テレビ制作会社の一部では、中国と一緒に制作しようみたいなプロジェクトが進んでるという話は噂に聞きます。ディレクターや放送作家も、中国に進出しようと動いている人もいると思います。2018年はあの木村拓哉さんも「Weibo」を始めていましたし、芸能人もどんどん中国語を勉強するようになりそうですよね。

もて:なるほど。でもテレビ業界全体としてはあまり意識していないんですかね。

白武:海外よりもネットとどう連動するかを考えている人が多い印象です。ただ、成功例が見えてくれば、新しい領域に踏み込もうとする海外志向のテレビ制作者は増えてくると思います。

もて:単に新しいコンテンツ・市場があるという話に限らず、いまアジアは面白いと思いますね。もちろん、一口に「アジア」とくくれないくらい国ごとに文化が違っていますし、ほかの国を見ることで日本のカルチャーがより高解像度で見えてくる面白さもあるなと。白武さんも中国など海外の仕事をする機会ってあるんですか?

白武:中国で恋愛バラエティをつくろうという話があって、企画をつくったことはありました。ただ、その話はお金を出す人が逃げて流れてしまったんですけど(苦笑)。

 ぼく自身としては、日本人にはない感性やツボで、中国ならではのバラエティに挑戦してみたいです。渡辺直美さんも中国の紅白と言われる番組に出ていましたが、日本とは予算の規模もぜんぜん違うと聞きますし。挑戦する人はどんどん増えると思います。

多様化するプラットフォームの現在地

ドキュメンタル

『HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル』

白武:アジアに限らず、タレントやコンテンツが海外へ進出していく話はこれからも増えていくでしょうね。『ドキュメンタル』も今度メキシコにローカライズされたものがつくられるらしくて楽しみです。メキシコの面白そうな人が集まっていて、セットもサボテンが並んでいてメキシコっぽい(笑)。これから海外に展開しやすい企画を考えられる人が活躍するんじゃないかと思います。

もて:『ドキュメンタル』はAmazon Primeで配信されていましたが、2018年はこれまで以上にNetflixやAbemaTVといった配信プラットフォーム発のコンテンツが話題になっていた気がします。白武さんの仕事も変わってきていたりするんですか?

白武:テレビとネットが5:5みたいな感じですね。テレビ以外だと、タレントのYouTubeチャンネルやVTuber、生配信番組や企業のウェブCMなど、お声がけいただいたら節操なくなんでもやっております。

もて:テレビとそれ以外で番組のつくり方も違います?

白武:レギュラーの番組の予算でいえばテレビのほうがあると思いますが、「ここにかけるぞ」ってときはほかのプラットフォームもテレビに負けていないですね。

 AbemaTVの『リアルカイジGP』に参加させていただいたんですが、賞金も1億円で番組のスケールが凄まじかったです。自動車を使ったAmazon Primeの『戦闘車』はスポンサーがあるテレビだとつくれないですし、『バチェラー』の海外デートの豪華さはテレビではできない規模だと思いますね。

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