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ミレニアル世代が振り返る2018年。霜降り明星、ローラ発言、アジアの音楽…

コラム

メジャーな仕事、自分の経験を貯められる仕事

白武ときお

白武ときお。放送作家、配信作家。担当番組は『ダウンタウンのガキの使い!!笑ってはいけないトレジャーハンター24時』『Aマッソのゲラニチョビ』『霜降り明星のパパユパユパユ』など

もて:プラットフォームが違うと、仕事するときの面白さも変わりそうですよね。

白武:テレビだとまだまだ未熟者なので末端の兵隊スタッフでやらせてもらってますが、小規模なネットの番組だと自分の裁量が大きいのでやりがいがありますね。最近だと、お笑い芸人のAマッソや霜降り明星と一緒にネット番組をつくっているのですが、大きくしていこうとする過程が楽しいです。メジャーな仕事と自分の経験を貯められる仕事をうまく両立させられるのが一番理想です。

もて:なるほど。面白そうだなとは思いつつも、バランスとるのは難しそうですね。

白武:若い世代は仕事のやりがいを重視するみたいな話もありますね。テレビの制作会社でも、やりがいを求めて違う業種に行ってしまう若手社員が増えているそうです。最近は失敗が許されないから、どうしても信頼のあるディレクターや演出家が重用されることが増えてしまうみたいで。そうすると若手にチャンスがなくやる気をなくしてしまったり。

もて:でも、そうやって会社にとらわれず自由に動く人が増えてくると組織のあり方も変わるし、仕事の流れも変わってきそうですね。

 例えば、いま日本は労働力人口の17%がフリーランスだと言われていて、アメリカは2020年までに労働人口の半分がフリーランスになるとも言われている。ぼくも白武さんもフリーランスですし、世代的にもそういう方向にシフトしていく人が増えている実感はありますよね。

霜降り明星、お笑い「第7世代」の出現

霜降り明星

霜降り明星 (c)2018 M-1GRANDPRIX、(c)ABCテレビ/吉本興業

もて:2018年はM-1がすごく盛り上がった印象がありました。反省会の配信が行なわれるとか「アナザーストーリー」がつくられるとか、いろいろな企画が用意されていた印象もあったんですが、そのうえでもかなり盛り上がっていた気がしていて。あれってどうしてなんですか?

白武:今回のM-1は、10組中9組が大阪の難波にある「baseよしもと」「よしもと漫才劇場」という劇場の出身。大会の前半、重かった空気をみんなで盛り上げて面白くしようと、同じ劇場出身の芸人さんたちの結束力、連帯感があったからこそ、熱狂的なムーブメントを生み出したと思います。

もて:10組中9組ってすごいですね。そんななかで20代の霜降り明星が優勝したからさらに話題になったってことなんでしょうか。

白武:そうですね。霜降り明星の優勝は新世代の象徴だと思います。勝手に提唱しているんですけど、お笑い業界に「第7世代」が登場したと。1987年以降に生まれたゆとり教育を受けた、デジタルネイティブの人たち。

もて:第7世代! そもそもそれまでって誰がどの世代だったんですか?

白武:はっきり「これだ!」って決まってはいないんですが、よく言われているのは、第3世代がダウンタウンさん、とんねるずさん、ウンナンさん、第4が「ボキャブラ」世代でくりぃむしちゅーさんやネプチューンさん。

 第5がM-1の第1世代です。おぎやはぎさん、ブラマヨさん、チュートさん、アンタッチャブルさん、タカトシさん。第6が『ピカルの定理』『キングオブコント』『THE MANZAI』で活躍された世代で、千鳥さん、ピースさん、ハライチさん、アルコ&ピースさんなど。そして第7世代の筆頭が霜降り明星ですね。

新しい人が駆け上がっていくのは楽しい

もてスリム

もてスリム。1989年、東京都生まれ。おとめ座。編集者/ライター。トーチwebにて「ホームフル・ドリフティング」連載中

もて:第7世代って結構たくさんいるものなんでしょうか。

白武:まだ知られてない面白い人が山ほどいます。ほかの第7世代の筆頭候補で言うと、ゆりやんレトリィバァさんは2017年に「女芸人No.1決定戦 THE W」で優勝していますし、2018年の「キングオブコント」では優勝されたハナコさん。

 ちなみにですが、関西で年末に毎年放送されている『オールザッツ漫才』の司会も、これまで千原ジュニアさんや小藪一豊さんが担当されていたんですが、2018年から和牛さん、アキナさん、アインシュタインさんに変わりました。

 少しずつですが、新しい世代が活躍し始めていると思います。イチお笑いファンとして、新しい人が駆け上がっていくのが楽しいですし、本当に尊敬します。

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