<最終回>貨幣は死に、そしてよみがえる!――『貨幣論』と『トイ・ストーリー』を混ぜてみた
リンネル「お茶ー! これはなに!?」
お茶「タイムマシンさ」
お茶は黒いサングラスを取りながら言いました。
お茶「みんなに紹介したいやつがいる」
そして、助手席側のドアが開きます。
未来人「未来人です」
リンネル「未来人!?」
お茶「貨幣が機能するかしないかが、次受け取る人によるんだったら、ぼくたちが貨幣を使えるかどうかは、未来の人が決めるんだよね」
リンネル「たしかに……」
=================
貨幣を貨幣として今ここでひきうけてもらうためには、貨幣を貨幣としてひきうけてくれる人間が無限の未来まで存在しつづけることが期待されていなければならない。
(岩井克人『貨幣論』一九八頁)
=================
=================
たんなる一枚の紙切れが、貨幣として使われているということによって、紙切れとしての価値をはるかにこえてもつことになる一万円という価値とは、無限のかなたに住む人間から今ここに住む人間へと送られてきた、気前のよい贈りものにほかならない。
(岩井克人『貨幣論』一九七頁)
=================
未来人「あなたたちに貨幣をプレゼントします」
すると目の前でボッと火がおこり、紙幣が復活しました。
紙幣「これは……」
リンネル「よかったね、未来人のおかげだよ」
お茶「もう悪さをするんじゃないぞ!」
紙幣「フン」
紙幣はふてくされた顔をしていましたが、どこか照れ隠しでそうしているようでした。
・
・
・
・
・
アダム・スミス「見ろ、『見えざる手』ですべてうまくいったぞ」
見えざる手「ま゛っ!」
コーヒー「はたして、そうだろうか……」
上着「議論が分かれるね」
実際、議論が分かれています。
前回の記事
人気タグ
おすすめ記事
菊池良は他にもこんな記事を書いています
- <第11回>異邦人の登場は貨幣世界をどう変えるか。そして、次号ついに最終回…!?――『貨幣論』と『トイ・ストーリー』を混ぜてみた
- <第10回>経済学者・ケインズ登場!そして「ハイパーインフレって…なんだ?」――『貨幣論』と『トイ・ストーリー』を混ぜてみた
- <第9回>世界の謎をたしかめるため、穴に飛び込んだリンネル。そこでは…――『貨幣論』と『トイ・ストーリー』を混ぜてみた
- <第8回>穴を見るまえに飛べ!「命がけの跳躍」をするかどうか、それが問題だ――『貨幣論』と『トイ・ストーリー』を混ぜてみた
- <第7回>商品世界を覆う紙幣の海、そして救世主2人が――『貨幣論』と『トイ・ストーリー』を混ぜてみた