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27歳助産師“シオリーヌ”が小中学生に「性教育」を行う理由

学び

――“シオリーヌ”の活動として、今後どのような展望がありますか。

大貫:継続的に性教育を学べる塾のような場所を作りたいです。性教育って、学校教育の限られた時間数で単発的に行われてるじゃないですか。中学校で講演を行うにしても「今日は性教育の時間なので避妊の話をします」って急に始まる。そんな感じだから、子どもたちが戸惑うこともあるかと思います。

 学校の時間割にあるくらい性教育が身近になればいいですよね、5歳から自分のプライベートゾーンの名前を覚えたりとか、自分で洗えるようになろうとか。そういうところから始めて、自分や相手の権利とか、人権学習とかセクシャリティの多様性とか、身体の発育、思春期にどんな変化があるかだとか、妊娠から出産のプロセスはどんなものなのかを包括的に教えられる環境を作れたらと思います。

――社会人になると、仕事上の付き合いをはじめ、あらゆる場面で男女が関係し合うことになるかと思います。それを踏まえて、読者に向けてメッセージをお願いします。

大貫:男女それぞれに“生きづらさ”というのがあると思うんですよ。男性の場合でも「こう生きてください」という規範のようなものがあって「弱音を吐くな」だとか、一生働いて稼いでいかないとならないだとか。日々接していてもさまざまな呪縛に囚われている気がします。

 男女お互いに偏見を持っていたり、敵対し合ってるような場面があるからこそ腹を割って話しあいたいなと感じます。

 男と女というグループで分けられることは多いけど、同じ社会の構成員なのは変わりありません。それぞれの強み弱みを補いあって、もうちょっと気楽に仲良くしていけたらいいと思いますね。

<取材・文/石井通之>

【大貫詩織】助産師/精神科看護師。神奈川県立保健福祉大学 看護学科卒業。総合病院産婦人科にて勤務ののち、現在は精神科児童思春期病棟に勤務。また学校での性教育に関する出張講座や、若者向けの性と命の語り場イベント『イノチカタルサロン』の主催も務める。公式サイト「yottoko net」更新中。

元エロ本編集者。高校卒業後、クリエイティブな分野に憧れて美術大学を目指すも、センスと根気のなさゆえに挫折。大学卒業後、就職した風俗雑誌の編集部でキャリアをスタートさせる。イベントレポートとインタビューが得意(似顔絵イラスト/koya)

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