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吉澤ひとみはまだ断酒できず…「アルコール依存」の怖さを産業医が警告する

暮らし

日本人のアルコール依存への認識は生ぬるい

 日本では「アルコール健康障害対策基本法」が平成26年(2014年)6月に施行、平成28年(2016年)5月に「アルコール健康障害対策推進基本計画」が策定されました。社会として、会社としても社員のアルコールによる健康障害対策について対処することが求められていると言えます。

 そのようななか、輸送業等ではアルコール教育、アルコールパッチテスト、アルコールチェッカー等の導入が進んできていますが、アルコールに関するものはタバコと同じで、まだまだ個人の嗜好品との扱いであることが現状だと思います。

 しかし、世界レベルでみるとアルコール依存症は、多くの日本人の認識より重篤(深刻)なものなのです。実際に、国際疾患分類(ICD-10)において、アルコール依存症は、アヘン・大麻・コカインなどと同じ「精神作用物質使用による精神及び行動の障害」に分類されています。

アルコール依存症の治療は完全断酒のみ

酔っ払い 体調不良

 アルコール依存症の唯一の治療法は断酒であり、節酒ではありません。状況により、治療方法は様々で、離脱・断酒、酒害教育、抗酒剤などの薬物療法、心理社会的治療(カウンセリング)などがありますが、一番大切なのは、本人の意思と言えるでしょう。

 早期発見、早期治療から治療継続において、周囲のサポートも大切ですが、本人の決意と自助努力に大きく左右される点は、麻薬などの中毒症のそれと非常に似ます。

 お酒=アルコールの問題を、ゴシップだけで終わらせるのではなく、深刻なリスクとして、ぜひ多くの働く人に知って欲しいと願ってやまない今日この頃でした。

<TEXT/武神健之>

医学博士、産業医、一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事。20以上のグローバル企業で年間1000件、通算1万件以上の健康相談やストレス・メンタルヘルス相談を行っている。著書『外資系エリート1万人をみてきた産業医が教える メンタルが強い人の習慣』(PHP研究所)発売中

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