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人材不足に苦しむ経営者必見。失敗しない中途採用の3つのポイント

学び

トップの経営陣だけで採用面接をしていないか?

 しっかりとした採用条件を設定し、無事に志望者が集まるようになったとしても、油断は禁物。適正な人材を採用し、長く働いてもらうためには、採用面接においても配慮が必要です

 採用面接において避けたいのは、役員や幹部社員だけで完結させてしまうことです。つまり、高齢となり現場を離れて久しい社員だけで採用面接をしてしまうと、現場のニーズと剥離した人材を採用してしまうリスクがあるからです。

 また、面接を受ける人の立場から見ても、採用される前に将来直属の上司や先輩になる人について知っておきたいと考えますから、現場の社員が面接に入ることで、会社と個人の双方にとってマッチした採用を実現することができます。

 そういった意味では、面接で志望動機や自己PRなどを“言わせる”という姿勢には問題を感じます。面接をする側と受ける側は対等であり、採用面接とは、互いが相手に求めるニーズを確認し合う場であるという意識が必要だと思います。

転職エージェントに丸投げしていないか?

高本尊通

高本尊通氏

 これからの人事面接は、「選考」ではなく、「採りにいく」という意識で臨むべきだと考えています。気持ちの問題ですが、どこでも人材不足の今、自分から前のめりに取り組まなければ、人材は逃げてしまいます。

 たとえば、人材募集にあたり転職エージェントに依頼することは多いと思いますが、ただ丸投げにするのか、こちら側からもコミットするのかによって、結果は大きく変わります。仮に「年収1000万円を提示するから、すぐに人が来るだろう」とタカをくくっていては、いつまでも志望者は現れないでしょう。

 自社の魅力は何なのか、どんな人材を採用したいのか、その人にどんなキャリアパスを提示してあげられるのか――。本来であれば、エージェントにあらかじめ伝えて置かなければならないことは、少なからずあるはずです。

 私どもも自社の社員採用のために転職エージェントに依頼することもあるのですが、そのときは、かならず自分からエージェントの事務所に出向いて話をすることにしてしまいます。きちんと自社の魅力を説明し、エージェントの担当者をファンにしなくては、人材を紹介してもらえないからです。

 ちなみに、私がエージェントに自社の魅力を考えるときには、「採用は戦争だ」というくらいの気持ちで、他社よりも優位な点を徹底的に考え抜くことにしています。

 なお、新卒者を採用する場面でも、やはり心を掴むための努力は欠かせません。ひとたび内定を出したからといって油断していると、内定辞退をされるリスクがあるからです。最近は、うまく新卒採用をしている会社は、在学中にインターンをさせたり、合宿をしたりして、新卒者の気持ちを離さないための取り組みをしているようです。

 私がよく使う言葉に「採用にウルトラCはない」というものがあります。これをやれば人が集まるという魔法の杖はないため、自分たちに見合う採用方法を追求し、最適化していくほかありません。ただし、やることは奇をてらう必要はありません、必要とされることを、当たり前にすることで、中途採用の成果を飛躍的に高めることができます。

<構成/小林義祟>

1972年3月7日生まれ。大学卒業後、パソナに入社。大手特別法人営業グループ責任者を経て、企画、アライアンス、業務改革担当として活躍後、2004年、株式会社プロフェッショナルバンク設立に参画。これまで約7000人あまりのキャリアに携わり、特に30代、40代の転職市場の現場に長く携わってきた。2012年にビズリーチ社の「日本ヘッドハンター大賞」、同年から2年連続で「リクナビNEXT AWARDMVA」を受賞するなどし、16年にはビズリーチ社によるヘッドハンターランキングで約1500人中第1位を獲得している

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