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あのギャツビーが宇宙でも使える?進化するスペースグッズを追った

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極限での挑戦が新たな価値を生む

研究室の掲げたキーワードは「Close To The Edge」。

“極限での挑戦が新たな価値を生む”という考えのもと、アスリートやレーサー、宇宙飛行士など、極限状態で夢や目標にチャレンジしている人の「お困りごとを解決する」ことを目指し、研究開発を行っていったという。

その第一弾として日の目を見たのが、オートバイ用品のアパレル販売を行う株式会社アールエスタイチと共同開発した「GATSBY LIQUIDWIND WATER」(ギャツビー リキッドウインドウォーター)だった。

真夏のツーリングは、過酷な暑さを乗り越える必要があるという。

というのも、バイクのエンジン熱はもとより全身は長袖の着用、そしてプロテクターも身につけるなど、フル装備でバイクに乗らなければならないからだ。

株式会社アールエスタイチとマンダムで共同開発した「GATSBY LIQUIDWIND WATER」(ギャツビー リキッドウインドウォーター)

株式会社アールエスタイチとマンダムで共同開発した「GATSBY LIQUIDWIND WATER」(ギャツビー リキッドウインドウォーター)

「こうした問題を解決し、夏場のツーリングでもひんやり快適に楽しめるように、腰に送水用の保冷ボトルを装着し、そこから冷却水を送って走行風を受けることで、胸部と背中を冷やすアンダーシャツが生まれました。マンダムは、ライダーの方が夏場でも汗のニオイを解消し、清涼感を得られ、長時間のツーリングを快適に過ごせるように、専用の『GATSBY LIQUIDWIND WATER』を開発しました」

この取り組みでは、マンダムが長年にわたる研究開発で培ってきた清涼感技術や皮膚感覚センサー研究を生かした「Kai-tech(快テック)技術」が使われているという。

清涼成分(メントール)による不快な刺激を緩和し、心地いい爽快感を長時間維持させる「Kai-tech Air(快テックエアー)技術」を生み出した。

エタノールフリーでも快適な心地よさを実現する独自技術

実は、この「Kai-tech 技術」こそ、ギャツビーの宇宙向け製品開発で重要なものになっているのだ。

2020年には、JAXAが手がける民間企業との共創プラットフォーム「THINK SPACE LIFE」にマンダムも参画し、本格的に宇宙向け製品の開発を始めることになる。

無論、地球と宇宙では環境が大きく変わるわけで、今までの当たり前は通用しない。

アルコール等の水溶性揮発性成分についても、宇宙ステーションにおける環境制御・生命維持を担うシステム「ISS ECLSS」に悪影響を与える可能性から、使用が厳しく制限されている。

そこで、従前の「Kai-tech技術」で生み出せる心地よい清涼感を、宇宙空間でも清涼感を実現できるように新たに開発したのが「Kai-tech Zero G 技術」だ。

志水弘典氏 インタビュー

「マンダムでは、化粧品などの製品機能や使用感の向上を図るために、細胞の感覚センサーの『TRPチャネル』(トリップチャネル)を用いた感覚刺激の研究を行っています。エタノールは揮発性と水溶性に優れ、ボディペーパーとして肌を拭く際に水とともに気化し、清涼感を与えることができるわけですが、宇宙空間ではそれができない。この課題を『Kai-tech Zero G 技術』を使い、エタノールフリーでも快適な心地よさを見出すことに成功したんです」(志水氏)

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