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サマンサタバサ、なぜ苦戦?“7期連続の最終赤字”に至った3つの主要因

ビジネス

なぜ苦境に陥っているのか

 サマンサタバサが苦境に陥った要因は3つあると考えられます。1つは得意としていたファッション領域・コンサバが人気終焉を迎えたこと。もう1つは有名人を起用したプロモーションに限界がきていること。そしてEC売上比率を上げられなかったことです。

 2000年代前半はファッション雑誌『JJ』や『CanCam』『Ray』『ViVi』などのいわゆる「赤文字系」が大流行し、モデルの蛯原友里さんや押切もえさんなどが活躍していました。この時代を象徴するファッションがキレイ目、お姉さん系などと呼ばれるコンサバでした。

 サマンサタバサのバッグは、コンサバファッションに合わせやすいデザインで、価格も高校生や大学生でも手を出せるものだったことから、大流行しました。

ファッションリーダーが存在しない時代に

サマンサタバサ

Samantha Thavasa designer handbags retail shop in Tokyo ©Kasasagiproductions Dreamstime.com

 しかし、時代とともにコンサバ人気は衰えます。雑誌『JJ』は2021年2月に月刊発行を終了しました。主婦の友社は『Ray』の関連事業を譲渡し、雑誌の発行を委託契約に切り替えています。

 消費者の価値観が多様化し、一握りの有名人が持つ影響力も低下しました。かつて蛯原友里さんや押切もえさんは「エビちゃん」「もえちゃん」の愛称で呼ばれ、メイクやファッションを真似る若い女性が街に溢れていました。その少し前は安室奈美恵さんのファッションを取り入れる「アムラー」が大流行しました。

 SNS時代を迎える前はファッションリーダーが存在し、それに追随するのが普通でした。広告手法も比較的単純で、マス広告が効果を発揮しやすい時代でした。

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