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老舗餃子チェーン「ぎょうざの満洲」代表が明かす「3割うまい!!」に込めた信念

暮らし

医師の一言でラーメンのスープを変更

ぎょうざの満洲

筆者もよく注文する看板商品の「焼餃子」(280円)

――季節限定商品も充実している印象ですが、開発の裏側には苦労もあるのでしょうか?

池野谷:それほど難しくはありません。中華料理は定番メニューが限られているので、そのぶんアレンジの幅が豊かなんです。特に、コロナ禍となって以降は、緊急事態宣言による営業時間短縮やアルコール提供の禁止、新規出店の見送りなどを受けて、社内で商品開発にいっそう力をそそぐようになりました。自社農園で野菜を収穫できるのも強みで、例えば、キャベツが多く収穫できる年には「キャベツを生かしたメニューはできないか」と、従業員からのアイデアも柔軟に受け入れながら商品開発に取り組んでいます。

――最後、ぎょうざの満洲を愛する方々へのメッセージをお願いします。

池野谷:1番大切にしているのは、食事を通して「健康で幸せに」という思いです。じつは、その思いを商品開発にも反映しています。従来は、豚骨や豚足をスープのダシに使っていましたが、ある時期から鶏と魚と野菜のダシに変えました。きっかけは私の経験で、病院の先生から「豚の脂の入ったスープを毎日飲まないほうがいい」と言われたことがあったんです。

 それにより、スープを飲み干すお客さんを見て「飲んでほしい」と願いながらも、内心では「飲まないほうがいい」と思う自分が心苦しくなってしまって、いっそスープに「豚を使うのはやめよう」と方針転換しました。定食で白米と玄米を選べるようにしているのも「健康になってほしい」と願うからですし、毎日に欠かせない食事で、1人でも多くの人が笑顔になればと思います。

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 当初、インパクトあるキャッチフレーズ「3割うまい!!」の意味を探ろうとして、お願いした今回の取材。店舗までの過程や裏側の思いを聞いたら、ついつい食べたくなってしまい、帰りぎわに寄ってしまった。多くの人々の胃袋を幸せにするぎょうざの満洲、これからもたくさんの笑顔を生み出していくことだろう。

<取材・文・撮影/カネコシュウヘイ 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>

フリーの取材記者。編集者、デザイナー。アイドルやエンタメ、サブカルが得意分野。現場主義。私立恵比寿中学、BABYMETAL、さくら学院、ハロプロ(アンジュルム、Juice=Juice、カンガル)が核。拙著『BABYMETAL追っかけ日記』(鉄人社)。Twitterは@sorao17

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