賃金未払い、不安定な雇用…スクールカウンセラーが告白「劣悪すぎる労働条件」
違法な未払い賃金の存在
心理職ユニオンのアンケートによれば、87%の人が残業をしており、そのうち平均的な残業時間が1~2時間という人が52%、2~3時間という人が17%であった。
持ち帰り仕事のある学校も50%ある(1人のスクールカウンセラーが複数の学校で働いている場合もあり、それぞれの学校について持ち帰り仕事があるかどうか聞いたため学校単位で集計した)。休憩時間も、約69%の学校で適切に取得できていない実態が明らかになっている。
「しかも、持ち帰り仕事にはもちろん、学校内での残業にも一切賃金は支払われていません。休憩時間も取れていませんが、賃金計算では休憩をとっているものとして計算されています」
「給特法」適用外なのに不当な扱い
アンケートでも、57%のスクールカウンセラーが「無償の時間外労働」の存在を指摘しているが、これらは労働基準法違反である。スクールカウンセラーは都の教育委員会に雇われた公務員であるが、公務員のなかに、これほど広範に違法な未払い賃金が広がっているのである。
なぜだろうか。これは、公立学校の教員の働き方と関係がある。というのも、公立学校の教員の場合には「給特法」という法律が適用されるため、あらかじめ時間外労働分の手当てが定額で支払われている。
したがって時間外労働があろうがなかろうが時間外労働分の賃金は変わらず、時間外労働が発生したらその分だけ賃金を追加で支払うという発想がそもそもない。しかしスクールカウンセラーには給特法は適用されず、時間外労働が発生した場合には、労働基準法に則って賃金として追加で支払われなければならない。
にもかかわらず、教員と同様な扱いをされてしまうため、時間外労働に賃金が支払われていないのである。法律違反の現状を直ちに是正することが必要だろう。