bizSPA!フレッシュ

「日本の100円ショップ」がオランダにも!“不毛の地”ヨーロッパにもブームは来るのか

暮らし

 今や日常生活に欠かせない存在となっている100円ショップ。あらゆるジャンルの物が安く手に入る100円ショップは外国人観光客にも人気だ。コロナ以前の最新データである2020年1~3月の調査によると、訪日外国人が買い物に訪れた場所として、爆買いで注目を集めた家電量販店が18.3%に対し、100円ショップは20.2%とやや上回るほどである(観光庁「訪日外国人の消費動向2020年 1-3月期(速報)報告書」)。

ピカピカ

店長の西田美香子さんと、PIKA PIKA JAPAN店舗

 実際100円ショップ各社も、日本国内だけでなく海外へも進出している。業界トップのダイソーは、2022年2月末時点で海外25か国と地域に展開。世界6338店舗のうち海外2296店舗と4割近くにのぼる。最も多いエリアがアジア(1973店)、次いで中南米(112店)・北米(87店)・中東(77店)・オセアニア(47店)である。ところが実はここにヨーロッパは1店もないのだ(大創産業 会社案内2022年)。

「不毛の地」に登場した「独立系」100円ショップ

 そんな「日本の100均不毛地帯」ヨーロッパの中にあるオランダに、2019年11月、日本の100均商品専門店がオープンした。その名も「PIKA PIKA JAPAN」。首都アムステルダム近郊の街、アムステルフェーンのショッピングセンター内にある。J-POPが流れる店内には、文具、おもちゃ、コスメ、食器、洗濯用品など、日本の100円ショップと変わらない品々が並び、オランダにいることを忘れてしまうほどだ。

 開店当初はオランダのみならず、近隣のドイツやベルギー在住日本人の間でも「日本に帰った気分になれる」と話題になった。しかしよく見ると、店内は日本人客ばかりではなく、むしろ日本人以外の来店者が多い。彼らは何を求めてこの店にやってきているのか。そして、何を買っていくのだろうか。

ドバイでの人気を見て決意したが…

ピカピカ

「どれがいいかしらね」と、買い物を楽しむ女性たち

 店のオーナー、マティウス氏はイラン人である。もともとアムステルダムで日本人向け美容室などの事業に携わり、日本語の読み書きもできる親日家だ。彼は家族が住むドバイや中東に進出しているダイソーを見て、オランダでもオープンさせたいと強く思ったそうだ。

 だが出店に向け動き出すと、商品をオランダへ輸出してくれる企業を見つけるまでが困難を極めた。というのも大手チェーン各社にはそれぞれ独自の出店計画や商品の仕入れ・生産ルートがあり、そこに一事業者が「オランダで販売したい」と名乗りを挙げても、そう簡単にはいかなかった。それでも100円ショップのヨーロッパでの成功を確信していたマティウス氏は日本国内の企業を複数周り、2年かけて粘り強く交渉を続け、無事にオープンさせることができた

 オープン時は日本の100円ショップと同じ商品カテゴリーで多様な雑貨を取り揃え、店内全ての商品を均一価格とした。その後、コロナ禍でニーズが高まり、日本食材や調理器具なども取り扱うようになったが、あくまで100均商品が主な販売品目である。現在100均商品は2.95ユーロ(約427円)均一、その他は個別に値付けされている。

おすすめ記事