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なぜ過剰な長時間労働は生まれるのか?「日本の悪しき労働文化」を弁護士に聞く

学び

産業医に相談することも必要

「労働問題があっても、打開策がなくて、困っている方もいると思っています。ただ、長時間労働に関しては労働安全衛生法という法律のなかで、時間外労働が月100時間ある方たちは産業医に相談できるようになっています(従業員50名以上の事業場の場合に義務付けられている)。

 産業医は、面談の結果、労働者に健康上で大きな問題があった場合、会社に報告する義務があるんです。言葉の暴力と違って、長時間労働の場合は会社の健康面の問題提起がしやすいことがあります」

 笹山氏は「会社に『会社の労働違反では?』『こういうのブラック企業ですよね?』と言うよりも、『会社の健康管理としてどうなんですか』というような問題を提起したほうがいいです」と語る。

「会社が健康管理をちゃんと行っていないということになり、あとで労働基準監督署から会社に調査が入ることがあり得ます。そのことで、もし労働者の誰かが健康を害して裁判になったり、労災認定されたりすれば、会社側が非常に不利益になりますよね。労働安全衛生法は、長期間労働について問題監査が持ちやすい法規制になっています」

労働時間を客観的にデータとして保存

ブラック企業

 最後に、長時間労働に苦しみ、パワハラにも日々我慢しているサラリーマンに対して、どうすればいいのかアドバイスをいただいた。

「本人が労基署に長時間労働を申告するときに、毎日の労働時間の細かいデータが必要です。まずは自分の労働時間を、客観的にデータとして取っておくことです。あと、我々法律の世界はなんでも紙ベースなので、データをプリントできるようにするのが望ましいですね。

 まずその労働時間が、第三者から見て『それは本当にひどいのか』『このぐらいなら違法だけど少し我慢できる範囲なのか』というデータを取るのが大切です。LINEやチャットワークでの出退勤報告などもスクショしておくのもよいでしょう。第三者が客観的に把握できるようにしておくというのが最低限の準備です」

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