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なぜ過剰な長時間労働は生まれるのか?「日本の悪しき労働文化」を弁護士に聞く

学び

長時間労働を生み出す「日本の労働文化」

 そもそも、過剰な長時間労働が起こってしまう原因はどこにあるのだろう。

「利益は人の労働から生まれるもので、労働が長くなればなるほど利益が出ます。特に工場労働の場合は、工場を24時間稼働すれば製品が生まれて、それだけ販売できることになります。そのため3交代よりも2交代にするほうが人件費も少なくて済む。利益は一緒ですが、労働者に払う賃金が少なくなるため、企業側にとっては長時間労働させるほうが有利になります」

 笹山氏は「私はそこに労働に対する日本人の文化もあると思っている」と語る。

「どうしても日本は時間でではなく、与えられたミッションで仕事を図るみたいな労働文化があります。ある意味、責任者はそういう文化につけこんでいます」

ミッションを与えることで過剰な労働を

ブラック企業

 ミッションを与えることで労働者に過剰な長時間労働させることもあるそうだ。

「労働基準法のひとつの例外として、“裁量労働制”という長時間労働に適した制度があります。その制度はとにかく仕事を与えて『あなたの裁量で労働をやってください』というもので、時間外労働をカウントしないんです。ただ、実際はどんなに有能な人であっても、1日8時間で終わるミッションを4〜5時間に縮めることはできない場合が多いですよね

 裁量労働制は長時間労働を正当化する制度だといわれていて、今のところ全労働者の数%しか適用されていません。企業側は、この制度の拡大をして適用範囲を広げ、そこから利益をあげようとしていると私は考えています

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