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五輪汚職で会長ら逮捕。異色の大企業KADOKAWAはなぜ“7000万円賄賂”を払ったか

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スポンサーになるメリットは…?

握手

 東京オリンピックのスポンサーにこだわっていた大きな要因のひとつに、KADOKAWAという会社の存在を世間にアピールする狙いがあったものと考えられます。KADOKAWAは賄賂を含め3億円以上のスポンサー料を支払っていました。マーケティングや販促費の費用対効果という側面においては、高い成果は得られなかったと考えられます。ましてや7000万円もの賄賂を渡していたとすればなおさらです。

 スポンサーになることは、信用力が上がって企業のブランド価値向上が得られるメリットのほうが大きいでしょう。そこには歴彦氏の強烈な思い入れがはったはずです。また、KADOKAWAは政治の世界との距離を縮めていました。一大イベントである「ニコニコ超会議」にはたびたび大物政治家が来場し、会場内を視察したり、トークコーナーに登壇しています。

 前内閣総理大臣の菅義偉氏は、2022年8月にKADOKAWAが運営するN高等学校・S高等学校の政治部で特別講義を行っています。KADOKAWAの夏野剛社長は、政府の規制改革推進会議の議長でもありました(一連の問題を受けて2022年10月12日に辞任)。

 国際的な祭典であるオリンピック・パラリンピックは、世界中の要人が集まる場所でもあります。スポンサーとして大会組織の中に入ることにより、国内外の政治家、IOC関係者などへと近づく機会もできるでしょう。まずは東京オリンピックでスポンサーとしての地位を築くこと。

 そこで企業ブランドの価値向上を狙い、政界や財界にネットワークを構築することが目的にあったのかもしれません。いずれにせよ、一刻も早い真相究明が行われることを望みたいです。

<TEXT/中小企業コンサルタント フジモトヨシミチ>

外食、小売り、ホテル業界を中心に取材を重ねてきた元経営情報誌記者。現在はコンサルタントという名の中小企業経営者のサンドバッグ役を務めるかたわら、経済の面白さを広く伝えるため、開示情報を分析した記事を書いている。好きな言葉は美食家・北大路魯山人の「硬め、麺少なめ、ニンニクマシマシ」

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