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鈴木エイト氏が語る、自民党と“統一教会汚染”「政治家の人権侵害はカルトよりひどい」

ビジネス

法整備の遅れを検証しないといけない

安倍晋三

安倍晋三元首相 ※首相官邸webサイトより

――統一教会は、信者の勧誘方法も、裁判があるたびに負けないように対策を変えているようです。政治に対しても同じなのですね。

鈴木:どうすれば自分たちが生きながらえることができるか、政治状況や社会状況に合わせてカメレオンのようにどんどん姿勢を変えるんですよね。自民党の自主調査によって党の政治家の半分ぐらいが関係をもっていたことがわかっていますが、信者が10万人ぐらいしかいない団体がこんなに政界にはびこっていることの気味悪さがありますよね。

 もともと教団の掲げる純血思想・純血主義は保守派の家父長的な考え方と相性はいいんですけど、問題は政策決定などに影響を及ぼしていないのかですよね。諸外国に比べて日本だけがジェンダー平等や多様性の受容の法整備が異常に遅れているわけを、ちゃんと検証しないといけないかなと思います。

 安倍さんが何をやってきたかということを振り返っていく中で、統一教会と自民党の右派がどういう関係だったのかがさらにクローズアップされると思います。バックラッシュによって男女共同参画などが不本意な形で見直しをされてしまった例はいろんな地区で山ほどあります。女性知事やジェンダーの運動をされていた方たちは、ぜひこの機会にこれまで抱えていたうっ屈を発散してほしいなと思います。

「カルト」という言葉を使えなかった

――若い世代からすると、今まで統一教会が反社会的団体だという印象はあまりありませんでした。

鈴木:メディアがほとんど取り上げてこなかったので、問題がある団体という認識が薄かったかもしれません。私は今までこの問題を追及して発表してきましたが、メディアでカルトという言葉も使えなかったし、団体名すらも指摘もできないような状況でした。メディア側から「教団名は出さないでください」「カルトっていう言葉は言わないでください」と言われていたんです。

 でも今、普通にテレビで出演者が「カルト団体」「統一教会は反社会的団体」と言っていて、隔世の感があります。メディアで取り上げられてこなかったのは、メディア側がクレームを前もって想定して、面倒くさいからとずっと自主規制をしてきたんですよね。アンタッチャブルな存在として敬遠されていたんです。そこに団体側がつけ込んで、ぬくぬくと好き放題やってきたんですよね。

 メディアの監視がないということは市民の目も届かないし、政治家側も問題があると思っていないので、ずっと放置されてしまった。その積み重ねが、こういう事件につながったのかなと思います。

自民党の統一教会汚染 追跡3000日

自民党の統一教会汚染 追跡3000日

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