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インスタに「#給与明細」をアップする人が急増中。何のために?

マネー

 それでは、クライアントやお客から「こんな投稿をする社員のいる会社は信用できない」と、取り引きに不利益が生じたり、会社の信用が下がった場合は、損害賠償されるのでしょうか?

「一般論としていえば、従業員の行為によって会社に損害が生じた場合、その従業員に当該損害を賠償する責任が生じるということになります。使用者(会社)から被用者(従業員)に対する損害賠償請求については、最高裁判所昭和51年7月8日判決(民集30巻7号689頁)において次のように判示してます。

『使用者が、その事業の執行につきはなされた被用者の加害行為により、直接損害を被り又は使用者としての損害賠償責任を負担したことに基づき損害を被つた場合には、使用者は、その事業の性格、規模、施設の状況、被用者の業務の内容、労働条件、勤務態度、加害行為の態様、加害行為の予防若しくは損失の分散についての使用者の配慮の程度その他諸般の事情に照らし、損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において、被用者に対し右損害の賠償又は求償の請求をすることができるものと解すべき』

 損害の全部を当然に請求できるものではなく『損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度』しか請求できないということです」

意外にも「損害賠償請求」は難しい? とはいえ…

インスタグラム

 とはいえ、こういった「SNSへの投稿行為」は従業員が業務として行う性質のものではなく、また「投稿行為」は、過失ではなく、故意に行った場合がほとんど。櫻町さんは「従業員の損害賠償責任については、業務上の過失行為によって会社に損害が生じたときに比べれば、重いものとなる可能性はある」と指摘します。ただし、「SNSへの投稿が原因で、例えば『取引先との商談がご破算になった』ということ(因果関係)の立証は、一般的にいえば困難です」とも。

「基本的に、損害賠償が認められるためのハードルは高いといえるでしょう。会社としては、従業員に対してSNSの利用方法などに関する注意喚起、あるいは、研修を実施するなどの方法によって、従業員の不用意なSNSへの投稿によって会社に損害が生じることのないようその防止に努めることが重要ではないかと思います」

 いくら損害賠償が求められにくいからとはいえ、先ほどの証言から明らかなように給与明細のアップは家庭のトラブルのもとであり、社内での自分の評価を著しく下げることに繋がりかねません! SNSの投稿にはくれぐれもみなさん、ご注意くださいね。

<取材・文/都田ミツコ>

編集者・ライター・エッセイスト。日課は今朝計った体重を妹にラインで送りつけること。