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業務スーパー創業者が100億円かけて“2度目の起業”。その責任者を直撃

ビジネス

地熱開発に投じる自己資金は100億円

 大きなリターンが望めることへの期待や地熱を今後の日本に残したいとの想いから業務スーパーの経営を息子に譲り、自己資金を投じて地熱開発に取り組む沼田氏。一体、どのくらいの自己資金を投じて地熱開発をおこなっているのだろうか。

「先ほども少し触れましたが、調査用の井戸を掘るのに平均5億円。蒸気や熱水が吹き上げる井戸・生産井もあれば、掘り起こした資源を地下に還元する還元井もあり、元に戻すための費用もかかります。それを何度も繰り返すわけです。

 また、蒸気が確認できたら発電所をつくるわけですが、だいたい70億円かかります。ざっくり言うなら、地下30億円、地上70億円。合計100億円が、発電所ひとつ作るのに必要なイメージです。それをすべて自己資金でおこなっています」

国の補助金制度を使わない理由

町おこしエネルギー

地熱はクリーンなエネルギーであり、副産物も多い。上の写真は、地熱の熱水を利用して飼育しているバナメイエビ

 神戸物産は一時、時価総額1兆円を超えるほどの大企業だ。その株を沼田氏が保有していたこともあり、「相当な資金力を持っている」と岡本氏は言うが、地熱開発をおこなうための助成金などを利用すれば、もう少し必要経費が抑えられるだろう。しかし、町おこしエネルギーでは申請を行っていないという。

「実は、JOGMECという国の機関があって申請が通れば2分の1補助が出るため、私ども以外の地熱開発事業者さんは、国の補助金を申請します。ただ、申請して井戸1本を掘るまでにヘリコプターを飛ばしての空中物探や磁石を地面に埋め込んで調査するなど5年ほどかかります。

 地下の状態をいろいろと調べ抜いて、行政や温泉組合の方々に同意をいただいてやっと掘削調査許可が出る。でも、井戸1本を掘るのに5年もかけていたら寿命がいくつあっても足りません。弊社では、調査部隊が自己資金で毎週のように北海道、東北、九州を中心に掘削できる有望地を探して飛び回っています」

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