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井村屋「やわもちアイス」、3年の月日をかけた開発秘話と“海外への挑戦”

ビジネス

思ったほど売上が伸びなかった味も

井村屋

2014年に発売した「やわもちアイス(白桃シャーベット)」(現在は販売終了)

 人気が高かった商品がある一方、予想したほどの売れ行きとはいかなかった商品も。

2014年に発売した『白桃シャーベット』は春夏シーズンめがけて材料を選定し、満を持して世に出したんですが、思ったほど売上は伸びませんでした。また、2020年の『ゆずと爽やかバニラ』も同様に手応えをつかめませんでしたね。フルーツが悪いかというと、2020年の『ストロベリー&チーズ』や2021年の『マンゴー&マンゴー&マンゴー』は割と好調だったので、今後もお客様がどういう志向を求めているかを考えながら、商品開発していきたいと考えています」

 また、嶋田氏はあずきバーのような井村屋の「伝統」を体現した商品と、子供向けのメロンボールのような「楽しさ」が伝わる商品のバランスを鑑みながら、まだ市場にない商品のアイデアを考えているそうだ。

ポテンシャルがあるのは海外市場

井村屋

やわもちアイスの海外輸出用パッケージ

「あずきバーは全国のスーパーにほぼどこにでも導入されているのに比べ、やわもちアイスはその半分にも満たない。今後はもっと販売チャネルの拡販していきたい」と意気込む。

「国内での需要喚起もそうですが、ポテンシャルがあるのは海外市場だと捉えています。というのも、台湾や香港、アメリカ、カナダでは、やわもちアイスが非常に好調で、特におもち文化のあるアジア圏や現地に住む日本人に大変人気を博しているからです。海外は右肩上がりの成長を続けており、これからも販売する国を増やしつつ、ブランドを成長させていきたい」

 物価上昇の影響で、やわもちアイスは2022年9月から10円の値上げが決まっている。社会情勢の変化にさらされながらも、「甘味処の和スイーツを、おうちで。」というコンセプトのもと、これからも和を感じさせる商品が生まれることを願いたい。

<取材・文/古田島大介>

1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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