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井村屋「やわもちアイス」、3年の月日をかけた開発秘話と“海外への挑戦”

ビジネス

 コンビニやスーパーには、多くのメーカーからさまざまな商品のアイスが販売されている。旬のフレーバーはもちろん、話題性を狙ったものや果汁たっぷりのものなど、アイスの種類は多様化が加速している状況だ。商品開発や販路拡大など、アイス市場で勝ち抜くための競争は、厳しさを増しているといえよう。

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井村屋株式会社 開発部冷菓チーム長の嶋田孝弘氏

 こうしたなか、2012年の発売以来、本格的な和スイーツとして親しまれているのが、井村屋の「やわもちアイス」である。井村屋の特色である和の魅力を商品に反映したもので、同社のロングセラー「あずきバー」に次ぐブランドにまで成長している。井村屋株式会社 開発部冷菓チーム長を務める嶋田孝弘氏に、やわもちアイスにおける今後の事業展望について話を聞いた。

コンビニの流行「和スイーツ」に着目

 井村屋といえば、あずきバーや肉まん、あんまんのイメージが強い。特にあずきバーは独特の硬さが特徴であり、同社を代表するアイス商品となっている。しかし、あずきバーなどのアイス商品はピークの夏場を過ぎ、秋冬に差し掛かると売上が落ちるのが課題だった。嶋田氏は「その時期を補う新たな商品として開発したのがやわもちアイスだった」と語る。

やわもちアイスの開発に着手する2009年頃は、コンビニスイーツが注目され、特に和スイーツが流行っていました。また、日本人が昔から好きなおもちのような食感も好まれていたので、井村屋の強みである餡(あん)とアイス、お餅を掛け合わせ商品が作れたらと思い、やわもちアイスの構想を練るようになったんです」

井村屋らしいカップアイスに3年費やす

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やわもちアイスの「バニラ」、「宇治抹茶」、「わらびもち」が定番3品となっている

 あずきバーに次ぐ新たなブランドを作り、さらなる成長を目指したい。そんな思いから着目したのは、売上規模の大きいカップアイス市場だった。しかし、「スーパーカップ」や「MOW」「ハーゲンダッツ」など、すでに競合の商品がひしめく市場を切り開いていくために、「井村屋らしさを生かした商品づくりで勝負に打って出る必要があった」と言う。

「競合商品の9割方は、バニラやチョコ、いちごといったフレーバーに代表される洋風のアイスが中心でした。それに対し、井村屋は“和”のイメージが強い。抹茶やきな粉など、和風のアイスを開発すれば差別化につながると思い、3年の月日をかけてやわもちアイスを開発しました」

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