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安倍氏銃撃から考える、政治家が宗教団体に“お墨付き”を与えることの危うさ

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日本の選挙と組織票の問題

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※イメージです

 報道に関して、事件から1日も経てば、特定の宗教団体の具体名を出せるだけの調査をする時間はあったと思います。7月11日には、旧統一教会が記者会見を開き、犯人の母親が信者であることが明らかになりました。また、1億円もの献金をしていたことも報じられ、その週発売の『週刊文春』『週刊新潮』には犯人の周囲の人へのインタビューなどが掲載されています。

 そうなると、今度は安倍さんをはじめとする、日本の政治空間における宗教との関わりというフェーズがまた立ち現れてきます。信教の自由があるので、安倍さん本人がどういった信心を持っていてもいいとは思うのですが、政治家が宗教団体の活動にメッセージを送ったりすることの意味は、また別途考える必要があると思います

 これは自民党から立候補した生稲晃子さんと今井絵里子さんを、音楽業界4団体が支援を表明するというニュースが6月30日に出たときにも批判的に語られましたが、日本の選挙が組織票、ある種の動員に基づいて行われている面が強いという問題とも関係してきます。

宗教団体に“お墨付き”を与える危うさ

 宗教団体としての主張に賛同するか否かとは別に、その構成メンバーによる選挙運動への助力動員というものが、非常に政治運動を助けてくれると。そういったものとのバーターとして、政治家がメッセージを出したり、広報誌の表紙を飾ったりしていたとすれば、その行動は宗教団体にある種のお墨付きを与えてしまう。

 さらにそうした団体による犠牲が生まれている場合、政治家はその犠牲を引き受ける覚悟があるのか? が問われなければいけません。

 このあたりは、旧統一教会と自民党の関わりを長年取材しているジャーナリストの鈴木エイトさんなどが記事をたくさん出していたり、あるいは紀藤正樹弁護士をはじめ、霊感商法などの犠牲になった方々の被害者の代弁をしている人たちが多くいます。それらの記事を読むと、政治家、あるいは公人が宗教団体の広告塔を務めることの危険性がわかってくると思います。

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