約30分で日用品が届くWolt。隆盛のデリバリーサービス業界で勝ち抜く策とは
共働きや子育て世帯の忙しいユーザーに
だが、わざわざオンラインで注文せずとも、リアル店舗に足を運べば欲しい日用品や食料品は手に入る。しかし、高木氏は「確実にユーザーニーズがある」と見解を示す。
「共働きや小さな子どもを抱えている世帯など、日々の生活を忙しく過ごしているユーザーがターゲットになります。日常の買い物に負担を感じていて、もっと自分の時間を作りたい。そのようなペイン(課題や悩み)を抱えるユーザーにQコマースを使ってもらうことで、いつでもどこでも注文ができ、時短にも応えられる。注文から30分程度で自宅に食料品や日用品を届けてもらう需要は確実に存在していると捉えています」
加えて、WoltのQコマースは「『ユーザーがサービスに生活を合わせられる』のが、ネットスーパーとの差別化につながっている」と高木氏は述べる。
「他の食材宅配サービスやネットスーパーは、配送時間が1日5便までと決まっているところも多く、ユーザー自身が予定を合わせにいく必要があります。一方、WoltのQコマースでは予約注文機能があり、好きな時間に欲しい商品を届けてもらうことができる。このようなサービス体験があるので、ユーザーの利便性向上につなげることが可能になっています」
街の中にある全てのものを届けたい
現在のリテール提携先としては、イオン九州やコストコ、ツルハドラッグなどだ。今後も「小売企業や百貨店といったパートナーを増やしたい」と高木氏は話す。
「いずれは街の中にある全てのものを、Qコマースで配達できる世界を目指しています。その目標に向けて、まずはさまざまなジャンルの商品を取り扱っていけるよう、リテール企業の開拓をしていきたいと思っています。また、新たなビジネスとして、Woltが培ってきた配達ネットワークを法人向けに提供するWolt Driveも今年5月にスタートしました」
フードデリバリーのみならず、さまざまな新規事業に挑むWolt。水色のカバンやユニフォームが特徴の配達パートナーが、さまざまなシーンで活躍するのも、そう遠くない未来に実現するのではないだろうか。
<取材・文/古田島大介>