望遠鏡マニアが高じて「地動説」を発見した“科学者ガリレオ”のスゴさとヤバさ
カトリック教会に呼び出されたあげく…
ガリレオが地動説の動かぬ証拠を見つけたものの、当時はまだキリスト教の影響力が強く、「地球が宇宙の中心だ!」という説が支配的でした。そのため、「地球は宇宙の中心ではないのでは?」という説を唱えたガリレオは教会から目をつけられてしまいます。
1616年にはカトリック教会に呼び出され、「地動説を主張することをやめなさい」と注意を受けます。しかし、その16年後、ガリレオは再び地動説について検証する本を出します。
この本は、天動説を信じる人と地動説を信じる人と中立的な立場の3人を登場させて、地球と太陽の動きを検証するという内容で、決して天動説だけを批判するものではありませんでした。しかし、またもや地動説を持ち出したことに教会は怒り、ガリレオを宗教裁判にかけてしまいます。
「地動説」を唱えつづけて無期刑に
異端審問の結果、ガリレオに下された判決は、なんと一生刑務所に拘束される「無期刑」……。友人の助けもあってなんとか刑務所入りはまぬがれましたが、ガリレオは死ぬまで、家のなかに軟禁されることになってしまいました。
ただ、その後もガリレオは研究に対する意欲は失っておらず、論文を書き続けます。若いころに望遠鏡で太陽を見すぎたため、晩年にはとうとう失明してしまいますが、それもも口述筆記で論文を書き続けたのです。
はたからみると、「そこまでしなくても!」と思ってしまうガリレオの研究者魂ですが、失明しても研究を続けるくらいの熱い情熱を持っていたからこそ、ガリレオは時代を変える大発見ができたのかもしれません。そして、彼のような科学者たちの想いと努力がつみ重なって、「地球を中心に宇宙が動く『天動説』」から「地球が太陽の周りを回っている『地動説』」という考え方へと、長い時間をかけて世界は変わっていったのです。
<TEXT/国立天文台水沢VLBI観測所所長 本間希樹>