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なぜ男女間の賃金格差が生まれるのか。元凶は日本特有のシステムに

ビジネス

このままでは優秀な人材が定着しない

男女の同僚

 女性の待遇向上はもちろん、労働者全体の待遇向上に必要な政策として「男女間の賃金格差の開示義務も良いですが、最賃1500円以上に引き上げること」だという。

「最賃引き上げは男女間賃金格差縮小にとても有効と考えています。とにかく1960年代型日本システムを見直せるかどうかが大きいです。そもそも、人口の半分は女性ですので、1960年代型日本システムが前提の社会では女性は活躍することが難しく、必然的に待遇も良くなりません。それだけではなく、優秀な人材の人手不足を招く恐れがあります。

 例えば、IT人材の不足が20年以上前から叫ばれていますよね。ITに関する能力の高い人材は中国やインドに多く、20年前は日本に多少は来ていたのですが、最近はほとんど来ません。日本は勤続年数や年齢によって給与が決まるため、就職しても低賃金で働かされます」

優秀な日本人を海外に手放すリスクも

「海外ですと、IT人材に日本の初任給の2~3倍は平気で出すため、優秀な人材は日本に来ません。これは『海外の優秀な人が日本に来てくれない』という問題だけではなく、優秀な日本人を海外に手放すリスクも含まれます

『若い時は安いかもしれないけど、年齢とともに給与は上がる』という言い分もありますが、IT分野の人は頭が冴えている若いうちに働いて、40歳を過ぎたら第一線を退く働き方が主流です。厚遇になる40代以降まで勤務する必要性を感じていません。女性に不平等を与えるだけでなく、さまざまなデメリットが潜んでいるため、早急に1960年代型日本システムを見直さなければいけないのです

 今の子供が大人になった際、私たちが放置した格差に絶望しないように、今からでも政府は是正に臨むべきではないだろうか。

<取材・文/望月悠木 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>

フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている
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