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「病気で休職しても、今のキャリアを手放したくない」外資コンサル女子の本音

学び

まだまだ休職すべきレベルではない

 最後になりますが、ご質問にあった休職について。

 今のAさんは、きっとまだまだ休職すべきレベルではありません。自信を失っているのは確かですが、病的なレベルほどまでの医学的懸念すべき症状があるわけではなさそうです。

 Aさんにとって、このような状況は人生で初めてかもしれませんね。自分の力が及ばないことに直面し、ちょっとうろたえているのも事実でしょう。しかし、安易に休職することは復職という新たなハードルを作るだけです。

 Aさんは単に、現実から逃げたいだけです。そのときに「病気」であることを利用したいのかもしれません。しかし同時に、周囲に自分が病気であるとは本当には思われたくないので休職期間中もしっかり活動する日々を過ごしキャリアにプラスにしたいと感じてしまうタイプです。

 おそらくAさんの性格では、休職した途端、復職したらどんな顔をして出社したらいいのかと不安に悩まされたり、同僚になんて挨拶しようなどなど考えたり、場合によっては休むことは怠けることなのでそれを受け入れられずにこの機会に新たな資格を勉強しようなどと計画立てたりするでしょう。

 断言します。今のAさんに休職は向きません。ますますその価値観や特徴が強化される気がしてしまいます。それよりも、人生初の壁に当たっているという現状を受け入れてみてはいかがでしょうか。辛いかもしれませんが、今の自分を受け入れるという経験こそが、きっとAさんのいい経験になると思います。

 人は話すことにより、漠然と自分の中にあった価値観や考えに気づくこともあるといいます。産業医の私でよければ、また話を聞かせてください。

「病気で休職しても、今のキャリアを手放したくない」外資コンサル女子の本音

武神健之氏

 以上、ご相談どうもありがとうございました。私の答えを元に色々考えることができるよう、あえて刺激的に書いている部分もありますが、ご了承ください。

<TEXT/武神健之>

医学博士、産業医、一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事。20以上のグローバル企業で年間1000件、通算1万件以上の健康相談やストレス・メンタルヘルス相談を行っている。著書『外資系エリート1万人をみてきた産業医が教える メンタルが強い人の習慣』(PHP研究所)発売中

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