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鳥取県を「日本一の県」に!空き家問題の“おせっかい”な解決法

ビジネス

 過疎化や高齢化は日本社会が抱える大きな課題だ。とりわけ経済・産業活動の縮小が著しいのが地方である。さまざまな対策が各自治体で講じられているが、日本で一番人口が少ない県・鳥取県ではある興味深い取り組みが行われている。

鳥取

鳥取駅(※画像はイメージです。以下同じ)

 それが日本財団が鳥取県と2016年に発足した「みんなでつくる“暮らし日本一”の鳥取県」の共同プロジェクトだ。日本財団の鳥取事務所所長として本プロジェクトにかかわってきた木田悟史氏は、2016年より鳥取県に移住し、住民たちとの交流を重ねるなかで2022年までの6年間で、250を超えるプロジェクトを推進してきた。そこから見えたキーワードは「濃いつながり」「おせっかい人材」「学びの場」だという。

 今回は木田氏の著書『みんなでつくる“暮らし日本一”「鳥取県×日本財団共同プロジェクト」から学ぶまちづくりのヒント』の内容から、実際に推進されたプロジェクトのひとつである「空き家問題」の解決を紹介したい(以下、同書より一部編集のうえ抜粋)。

利用されないまま放置された「空き家」の問題

 鳥取に赴任した当初から、空き家の問題はずっと気になっていました。日本財団のまちなか拠点を置いている鳥取市や米子市の中心市街地にも空き家、空き店舗は多くあり、なかには建て直されるものもありますが、利用されないまま放置されている物件も数多くあります。

 空き屋の利活用については、オーナーさんのご理解や、入居者とのマッチング、物件そのものが古くなっているため、水まわりや電気などを改修する必要があるなど、乗り越えなくてはならない壁がいくつもあるのです。

 私自身、両親が兵庫県に住んでいるのですが、先祖から受け継いできた土地や家屋を、これからどのように引き継いでいけばいいのか、我がこととしても関心の高いテーマでした。鳥取県内はもとより、全国や海外の空き家、空き物件の利活用についても調べるようになり、いくつかの先進的な取り組みについても知ることとなりました。

空き家から、自分たちの「まちの未来」を考える

扶桑社

木田 悟史『みんなでつくる“暮らし日本一”「鳥取県×日本財団共同プロジェクト」から学ぶまちづくりのヒント』(扶桑社新書)

 そこでの気づきとしては、空き家の問題というのは、おそらく「家」あるいはその物件そのものだけに目を向けていたのでは解決されないのだということ。当たり前と言えば当たり前かもしれませんが、人はその「家」に暮らすと同時に、その家の存在する「まち」のなかで暮らしていくのです。

 自分はそのまちのなかでどのように暮らしていくことができるのか。そこに暮らす人たちとの間でどのような関わりをもつことができるのか。さらに、そのまちには素敵な図書館やパン屋さんといったような居場所があるのか。こういった要素が相まって、総合的にその「空き家」をどうしていこうか、という話になるのだと思います。

 小林(清「いんしゅう鹿野まちづくり協議会」事務局長)さんたちの活動も、空き家の問題を単に家だけの問題として捉えるのではなく、今後10年先、20年先を見据え、自分たちの暮らすまちをどのようにしていきたいのか、という大きな枠組みのなかで捉えられているのだと思います。

みんなでつくる“暮らし日本一”「鳥取県×日本財団共同プロジェクト」から学ぶまちづくりのヒント

みんなでつくる“暮らし日本一”「鳥取県×日本財団共同プロジェクト」から学ぶまちづくりのヒント

キーワードは「濃いつながり」「おせっかい人材」「学びの場」!“暮らし日本一”をコンセプトに推進されたプロジェクトでは何を拓き、何を成し遂げ、何を学んだのか?6年間にわたるその全貌は多種多様なヒントに溢れている

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