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鳥取県を「日本一の県」に!空き家問題の“おせっかい”な解決法

ビジネス

空き家を放置せずサブリースするという仕組み

鳥取

鳥取砂丘

 鹿野町の「まち協」では2008年ごろから「空き家を貸したい人」と「空き家に住みたい人」の「マッチング」をしています。

 最初のころはやはり空き家提供に二の足を踏む人が多かったようですが、理事長である佐々木(千代子「いんしゅう鹿野まちづくり協議会」理事長)さんが自分の所有していた空き家を提供することからスタート。貸し手(オーナー)から見て気がかりとなる問題を、「まち協」がいったん借り受け、それを希望者に転貸(サブリース)する形をとることで、解決しています

 顔の見える、人柄が見える「まち協」が間に入っているという安心感、あうんの呼吸で成立しているわけです。「まち協」は保証人ではなく、契約主体となって責任を負っているのです。

「まち協」は不動産業者ではありません。空き家を借りる場合は「まち協」の思いや活動を知っていただき、家を守ることに加え地域を大切にする思いを所有者と共有したいと考えています。空き家を放置していくことが地域にもたらすマイナスの影響や、近隣の方々に不安を与えることなどを話し、空き家活用の意義を伝えています。

きめの細かい配慮のうえにあるまちの活性化

 もちろん、これは一朝一夕でできるものではなく、佐々木さんや小林さんがまちの活性化には必要なことだと丁寧に説明、ときには遠方まで出向いて説得していった積み重ねのうえにあるものです。

「……現在は海外に住んでいるため家の管理を『まち協』にお願いしています。海外で暮らしながら家を維持することの難しさを感じていました。頭を抱えたくなるような事務手続きの話や古くなった家の改修・郵便物が郵便箱からあふれないようになど様々なことに対応してくださっています。定期的な空気の入れ替えや掃除、庭の手入れによる家の劣化防止なども……」

 これは「まち協」のパンフレットにあった声を引用したものですが、「まち協」は空き家管理も行っています。ほかにも、たとえばオーナー(貸主)の方が高齢で認知症になられて契約していることを忘れてしまうこともあり「『まち協』から毎月お金が振り込まれるので不思議だなと思っていた」ということがあったので、今後は75歳以上の後期高齢者の方との契約にはできるだけ家族の方に立ち会ってもらうことにしたというように、きめの細かい配慮をしています。

みんなでつくる“暮らし日本一”「鳥取県×日本財団共同プロジェクト」から学ぶまちづくりのヒント

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キーワードは「濃いつながり」「おせっかい人材」「学びの場」!“暮らし日本一”をコンセプトに推進されたプロジェクトでは何を拓き、何を成し遂げ、何を学んだのか?6年間にわたるその全貌は多種多様なヒントに溢れている

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