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仕事で「うつ病」になったら労災は認められる?社会保険を学ぶ

学び

 昨今、長時間の残業やハラスメントにより、うつ病をはじめとする精神の病を患う労働者が増え、社会問題となっています

鬱病

※画像はイメージです(以下同じ)

 もし会社に行けないほど重症化してしまったら、労災や傷病手当はもらえるのでしょうか?

 特定社会保険労務士の澤上貴子さんによれば「仕事が原因でうつ病になったと申請した場合、労災認定されるケースは決して多いとはいえない」そうです。

労災認定には明らかな因果関係が必要

「労災と認定されるには、仕事が原因の怪我や病気だと認められなければなりません。うつ病が労災と認定されるケースももちろんありますが、明らかな因果関係があることが必要です

 そもそも労災(労働災害)とは、通勤または業務中に発生した怪我や病気のことで、国から保険金の給付を受けることができます。

 今年の夏は記録的な猛暑が続き、熱中症が相次ぎましたが、例えば仕事中に熱中症で倒れた場合も、同じように業務に関連しているかがポイント。

 事業主には労働者の安全と健康を確保するようにつとめる安全配慮義務がありますが、「それに違反しているとみなされる場合は、労災と認定される可能性も高くなります」と、澤上さん。

仕事中に熱中症になったら「労災認定」されるか?

「具体的には仕事をしている時間・場所に熱中症を引き起こす明らかな原因があること、それで熱中症になったという因果関係があること、実際に熱中症であると認められること、仕事に関係しない他の原因で熱中症になったのではないことなどが問われます

 例えば、外での作業を休憩なしで長時間行うような働き方だったり、無理な環境でのパワハラまがいの指示など、会社側に労働者の安全衛生面に対する配慮が足りない場合には労災という判断が下りる可能性も出てくるでしょう」

 一方で、本人がもともと体調が悪かったり、会社の命令に従わず、無理をしたなど、いろいろな要素が考えられるので、判断が難しい部分があるのも事実。

 ですが、「それでも業務に起因するものと思われるものであれば、申請自体をすることは可能」(澤上さん)とのこと。

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