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日産「シーマ」が生産終了へ。消滅の理由は、したたかな“脱ゴーン”戦略にアリ

ビジネス

“脱ゴーン”を決定づけた「NISSAN NEXT」

 カルロス・ゴーン氏は2018年11月に金融商品取引法違反に問われて逮捕。日産の会長職を解かれました。その後、レバノンに逃亡したのはよく知られた通りです。日産は新型コロナウイルス感染拡大や半導体不足の影響によって売上高を大きく落とします。

 2021年度は営業赤字見込みというバブル崩壊以降で最大の危機に見舞われました。

 2020年5月に発表したのが事業構造改革計画「NISSAN NEXT」です。この計画は「日産パワー88」の真逆を行く内容です。

2021年の「シーマ」の販売台数は75台

 市場はブラジルやロシアから、もともと強みがあった日本、北米へとシフト。新興国は中国のみを重点地域に定めました。また、車種数を2023年度までに20%削減するというものです。これにより、現在69種ある車のモデルは55種以下に減ることになります。生産能力は20%削減する一方、新車の開発に注力して車齢の若返りを図るとしています。

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「NISSAN NEXT」 ※日産自動車新中期経営計画より

 この選択と集中が「シーマ」や「ダットサン」の消滅に繋がります。2021年の「シーマ」の販売台数はわずか75台。車種の絞り込みが行われる流れの中で、真っ先に候補となる車でした。「ダットサン」はもともと新興国向けに復活したブランド。重点エリアを北米や日本にシフトする日産には不必要なモデルでした。

 今後も生産終了を決定するモデルが続々と出てくると予想できますが、消費者がワクワクするような車が登場することに期待がかかります。

<TEXT/中小企業コンサルタント フジモトヨシミチ 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>

外食、小売り、ホテル業界を中心に取材を重ねてきた元経営情報誌記者。現在はコンサルタントという名の中小企業経営者のサンドバッグ役を務めるかたわら、経済の面白さを広く伝えるため、開示情報を分析した記事を書いている。好きな言葉は美食家・北大路魯山人の「硬め、麺少なめ、ニンニクマシマシ」

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