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30歳で“老舗銭湯の店長”に転身した元サラリーマンに聞く、「収入が半分」でも決断したワケ

学び

 馴染みの店の店主から「君になら任せられる」と誘われ店を預けられる……。毎日、同じ道を行き来する毎日に嫌気がさし、どこかのフィクションで見たような妄想で気を紛らわせたことはないだろうか

長谷川さん

千代の湯店長・長谷川雄太さん

 そんな経緯で本当に銭湯の店主になってしまった人がいる。西尾久にある老舗銭湯「千代の湯」の店長を務める長谷川雄太さん(30歳)だ。

 会社員だった長谷川さんは、いかにして一人の銭湯好きから銭湯店長へ転身したのか。フィクションではない、リアルな話をじっくり聞いた。

前職は製薬関係の開発職

 現在は銭湯を運営する長谷川さんだが、前職はまるで関係のない製薬関係の開発職。会社が開発した新薬が安全なものなのか、実際に治験などを行い、製品化に繋げる仕事だ。

「製薬関係の会社に勤めていたのはそれほど大きな理由はありません。大学で勉強していたこととも少し関わりがあったので就職活動をして、ご縁があったのでそのまま入社したという感じです。

 ただ、別に仕事が楽しくなかったわけではなく、全国の医師に会うために移動も多く、忙しい日々でしたが、自分の開発した薬が市薬品として並ぶことにはやりがいを感じていました。あと、出張先で全国の美味しいものも食べられたので(笑)」(以下、長谷川さん)

 多いときは月1で北海道への出張をしていたという長谷川さん。そんな全国を飛び回る日々を過ごして5年が経ち、少しづつ転職を考えるようになったという。

10年後も働いている自分が想像できなかった

長谷川さん

「仕事にそれほどの不満があったわけではないんですが、なんとなく今の会社でこのまま5年後、10年後先も働いている自分の姿が想像できなかったんですよね。それでキリも良いし、まだチャレンジもできる、30歳までに転職しようと決めて、いろいろと転職先を探すようになりました。当時は医療系の出版社の編集者やライター、大学院時代の就職活動先の研究所など、医療や研究職での別職種を検討していました」

 大学院を卒業し、それなりのやりがいを感じつつも、なんとなく違和感を感じて転職を考え始める。ここまでは世間一般でよく聞く話のように思えるが、そこからなぜ銭湯の店長という道が開けたのか。

 少し時間を巻き戻し、長谷川さんが週5~6日で通う銭湯ヘビーユーザーになるまでの経緯を見ていこう。

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