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30歳で“老舗銭湯の店長”に転身した元サラリーマンに聞く、「収入が半分」でも決断したワケ

学び

どうせならお風呂が多い街に住もう

 子供の頃から大きなお風呂に入るのが好きだった長谷川さん。温泉はもちろん、幼少期から大学にかけては家族や友達と近隣のスーパー銭湯に行くことも多かったそうだ。だがここまではライトな銭湯好き。それから“銭湯沼”にどっぷりとハマるようになったのは荒川区に引っ越したことがきっかけだ。

「入社して2年目くらいは実家でお金を貯めていて。そろそろ一人暮らしを始めるかと、最初は会社の近くの物件を見ていたんですが、あまり住むイメージが湧かなかったんですね。それなら、せっかくだしお風呂屋さんの多いところが多いなと思い、引っ越したのが西日暮里でした

 荒川区は現在でも19軒ほどの銭湯が残る、銭湯好きにはたまらない街。また、同じく銭湯の多い台東区、足立区にも自転車で気軽にアクセスできることもあり、長谷川さんの銭湯愛がふつふつと沸き始める。

引っ越して最初に行ったのは三河島の『帝国湯』だったかな。そこから週2~3日くらいで自転車も使って近隣の銭湯に通うようになりました。そしたら、実家が埼玉なんですけど、地元にはない東京のいわゆる“昔ながらの銭湯”っていいなと思うようになって。そのうち休日には電車に乗って少し遠くの銭湯にも行くようになりました」

 こうして立派な銭湯好きになった長谷川さん。会社員としての日々を送るなかで、都内の銭湯を巡っているとき、その後の人生を変える銭湯と出会うことになる。

西尾久「梅の湯」に衝撃を受けた

梅の湯

梅の湯

 それが、同じく千代の湯から5分ほど歩いた先にある、西尾久のランドマーク的な銭湯「梅の湯」だ。

ひととおり近隣の銭湯も行き尽くしたなと思ったとき、始めて梅の湯に行き、衝撃を受けたんです。2016年にリニューアルしたこともあってすごく綺麗だし、しかもサウナも無料! 水風呂もあるし、露天風呂もあるしで朝風呂をやっている日曜は必ず通うようになりました」

 梅の湯を新たなホーム銭湯とし、頻繁に訪れるようになった長谷川さん。ここから徐々に銭湯の内側へと足を踏み入れることになる。

「通っている中で、たまたま梅の湯が場所づくりワークショップをするという告知を見て。なんとなく『荒川区で何かしたいな』という思いがあったので参加したのですが、そこで出会ったのが梅の湯三代目店主の栗田尚史さんでした」

 栗田さんは26歳で梅の湯の三代目店主となった若き銭湯オーナー。前述した梅の湯のコミュニティ銭湯への大規模に建て替えや、空きスペースを活用した場所づくりワークショップを行うなど、西尾久のまちづくりも精力的に行なっている。

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