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ミニシアター文化は終焉を迎えるのか?岩波ホールは7月に閉館

ビジネス

続々と閉館しているミニシアター

興行場営業(映画館)の実態と経営改善の方策

「興行場営業(映画館)の実態と経営改善の方策」より 出典:厚生労働省

 厚生労働省「興行場営業(映画館)の実態と経営改善の方策」では、(コロナ前の)ミニシアターの経営課題は集客であるとしています。その課題は明確です。

 コロナは一時的に映画館から人を遠ざけましたが、怖いのは長期的な影響です。動画配信大手ネットフリックスは2020年8月末で日本の有料会員数が500万人を突破したと発表しました。2015年にサービスを開始し、2019年9月の登録者は300万人でした。コロナによって加入が急増しています。ネットフリックスはドラマや映画だけでなく、良質なドキュメンタリー作品の製作にも力を入れており、コアな映画ファンにも満足度の高いコンテンツを提供しています

 さらにDVDのレンタルや販売も市場が縮小し、ミニシアター系映画は収益源を失っています。2011年2月「シネセゾン渋谷」、2013年5月「銀座テアトルシネマ」、2014年6月「吉祥寺バウスシアター」、2021年5月「アップリンク渋谷」などミニシアターが次々と閉館しています。

 そこに「岩波ホール」が加わることとなりました。今や古き良き映画文化は風前の灯火なのかもしれません。

<TEXT/フジモトヨシミチ 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>

外食、小売り、ホテル業界を中心に取材を重ねてきた元経営情報誌記者。現在はコンサルタントという名の中小企業経営者のサンドバッグ役を務めるかたわら、経済の面白さを広く伝えるため、開示情報を分析した記事を書いている。好きな言葉は美食家・北大路魯山人の「硬め、麺少なめ、ニンニクマシマシ」

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