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プーチンは「復縁を迫るDV夫」。今さら聞けない“ウクライナ情勢”をゼロから解説

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「旧ソ連版EU」を作りたいプーチン

――ソビエト連邦だった国は多くありますが、その中でもウクライナにこだわるのはなぜですか?

小泉:ウクライナの広さです。プーチンは「旧ソ連版EU」のような政治経済の枠組みをつくりたいんですよ。ただ、旧ソ連の国々は国土も経済も小さい国ばかり。その中で、ウクライナは、旧ソ連のなかではロシアに次いで2番目の大きさで、ヨーロッパ最大級の広さがあります。人口も約4200万人でイタリアやスペインに次ぐくらいの人がいるんです。

――NATOはどういった存在なのかも教えていただけますか?

小泉:ソ連軍はかつて規格外の超軍事大国でした。今、世界一の軍事大国は中国で、二百数十万人くらいの兵士がいるんですが、1991年の時点でソ連軍は530万人。アメリカとヨーロッパの国々が「まともにソ連と戦ったら絶対に勝てないぞ」ということで作ったのがNATOなんです。

今さら聞けない「NATO」について

NATO

NATOの旗 ©Alexey Novikov

――NATOの設立目的が対ソ連の軍事同盟だったんですね。

小泉:他に「アメリカをヨーロッパに引っ張り込んでおく」という目的もあります。NATOはアメリカ中心の同盟なので、これがある以上はアメリカ軍がヨーロッパにいてくれるし、ソ連も簡単にはヨーロッパに侵入してくることはできないわけですね。

――対ソ連も目的のひとつである軍事同盟ですが、ソ連崩壊後はどうなったんですか?

小泉:1991年にソ連がなくなって、それまで続いていたアメリカとロシアの激しい対立が終わりました。しかし、NATOは解散しなかったんです。なぜかというと、それまでソ連に支配されていた東ヨーロッパの国が「もう二度とロシアに支配されないようにNATOに入れてください!」と、続々とNATOに加盟していくんですよ。

 ただ当然、ロシアからすると「我々としては誠意を持ってアメリカとの対立を終わらせようとしたのに、むしろ加盟国を増やしてるじゃないか!」と思いますよね。ですが、これはソ連の行いが悪かったからです。支配していたとはいえ、その国々をきちんと扱っていたり、ソビエト式の社会主義が西側の資本主義より優れていれば、こんなことにはならなかったわけですよね。

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