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プーチンは「復縁を迫るDV夫」。今さら聞けない“ウクライナ情勢”をゼロから解説

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今まではNATOがなだめていたが…

――それでも、ロシアとNATOがここまで戦争をせずにやってこれたのはなぜですか?

小泉:ロシアが反発するたびに、NATOがなだめてきたんです。「東ヨーロッパの国々が入ってきているのは、ロシアを攻撃するためじゃなくて民主化と安定を求めているだけなんだよ」と。ですが、ウクライナがNATOに入るかもしれないという話が出てきた頃からロシアが完全にブチ切れ始めるんです。

 2008年のNATOサミットにはプーチン大統領が乗り込んでいくようなこともありました。こうなるとNATOも、ロシアが手をつけられなくなるとまずいので、ウクライナがNATOに入る話はいったん白紙に。

――それが今回また、NATOに入るような話が持ち上がったんでしょうか?

小泉:ウクライナは2014年から東部でロシアの軍事介入を受け続けてきました。NATOは、紛争を抱えている国をそのままで入れないと思うんですよ。しかも今回のことで、侵略を食らっているウクライナをNATOに入れたら、ロシアをやっつけに行かなきゃいけなくなってしまいます。そうなると核戦争になってしまうのでこれは絶対避けたい。だから、「ウクライナがNATOに入ってしまう! 危ない!」って言ってるのはロシアだけなんですよ。

ロシアは「復縁を迫るDV夫」

ウクライナ

© weyo

――当のウクライナはどう考えているんですか?

小泉:ウクライナにとってロシアは民族的には近い兄弟国。特に東部のロシア系住民はそうです。だからそう急いでNATOに加盟したいと言ってきた訳ではないのですが、長期的にはNATO・EUに入りたいという目標を掲げてきました。

――ロシアにしてみると、いずれNATOに入ろうとしているウクライナが気にくわないんですね。

小泉:プーチンは、ソ連が崩壊した時にウクライナが手違いで独立してしまっただけで、ロシアとウクライナは本来一体の存在だと考えています。その上でロシアは「ウクライナを武力で押さえつけている間は、自分の言うことを聞くけれど、その手を緩めるとすぐに西側諸国にすり寄っていく」と思ってるんです。だから、2度と逆らえないようにウクライナ政府そのものをぶちのめすという目的も今回の侵略にはあると思います。

「ロシアは復縁を迫るDV夫のようだ」という表現を見ましたが、僕はピッタリだと思っています。暴れている間は妻がおとなしく家にいてくれるんだけど、目を離すとすぐに逃げて行ってしまうから、完全に逃げ出さないように包丁を振り回し始めたというような状況ですよね。しかし、お話しした通り、ウクライナは今すぐNATOに入ることはないでしょう。

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