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10兆円企業が誕生間近も…実は「薬で儲かっていない」ドラッグストア大手5社の明暗と戦略

ビジネス

2)ツルハHD:今後もウエルシアと似た戦略か

売上高:9193億円(21/5期)
店舗数:2420店

ツルハドラッグ

 ツルハホールディングスは赤色が特徴の「ツルハドラッグ」、千葉地盤の「くすりの福太郎」などを傘下に置く企業です。2018年度(19/5期)は売上高がウエルシアを超え業界トップとなりましたが、翌年度には再び2位に転じています。

 競うように出店を続ける両社ですが、ツルハHDの株式の約13%をイオンが握っています。しかしながら、今のところイオン―ツルハ統合による超大型ドラッグチェーンの設立構想は無いようです。ちなみにツルハでも「WAON」が使えます。18/5~21/5期の売上高は以下の通りです。

【ツルハ業績(18/5~21/5期)】
売上高:6732億円➝7824億円➝8410億円➝9193億円
営業利益:402億円➝418億円➝450億円➝484億円

 近年の規模拡大は、小規模チェーンの買収と店舗数拡大によるものです。コロナ禍では巣ごもり需要と衛生用品の売上も好調な業績に寄与しています。ウエルシアと同様の経路を歩んできたツルハですが、調剤薬局の併設率は3割弱とウエルシアよりはかなり少なめです。

 今後はドミナント戦略によって店舗数を増やし規模拡大を狙うようですが、同時に併設調剤の開局を推進するとしており、同社もウエルシアのように調剤分野で進出の余地があると考えているようです。

3)マツキヨココカラ&カンパニー:目標は強気だが…

売上高:9233億円(21/3期)
店舗数:3225店

ココカラファイン

 同社は「マツモトキヨシHD」と「ココカラファイン」が2021年10月に経営統合して生まれました。マツモトキヨシHDが現在の社名に変更となり、ココカラファインが吸収されるような形で統合しました。事実上の吸収合併と言えます。18/3期から21/3期における両社の業績推移を見ていきましょう(※統合前であるため、21/3期は両社の売上高を足したものです)。

【マツキヨ(18/3~21/3期)】
売上高:5589億円➝5760億円➝5906億円➝5569億円
営業利益:336億円➝360億円➝376億円➝315億円

【ココカラ(18/3~21/3期)】
売上高:3910億円➝4006億円➝4039億円➝3664億円
営業利益:137億円➝129億円➝133億円➝103億円

 ウエルシア、ツルハは規模を拡大しているのに対し、統合前の両社は横ばいとなっていることが分かります。苦戦している背景には両社が都市部に集中して店舗を構えていること、化粧品などインバウンド需要への依存度が比較的高いことがあげられます。

 都市部ではすでに飽和状態にあることから近年の業績拡大は見込めず、インバウンド需要も20/3期あたり頭打ち感がでていました。そしてコロナ禍の21/3期は外出自粛と外国人観光客の激減によって打撃を受けました。

 今後は、化粧品PB商品の強化や調剤取扱店の拡大によって規模拡大を狙うとしています。グループ売上高1.5兆円と強気の目標を設定していますが、ウエルシアを超えられるかどうかは未知数です。

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