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セガのゲーセン撤退は赤字事業の足切りか。業績はV字回復傾向も

ビジネス

好調だった2019/3期

龍が如く7 光と闇の行方

『龍が如く7 光と闇の行方』(SEGA)

 売上高をみると、コロナの感染拡大が起きるまでのここ数年は規模拡大が続いていたことが分かります。2019/3期は遊技機事業が前年同等だったものの、主力となるエンタテインメントコンテンツ事業の売上高が約112億円増加しました。一般向け既存タイトルのリピート販売が好調だったようです。一方で研究開発費や本社移転費用がかさみ利益は減少しました。

 翌2020/3期は遊技機事業が好調となりました。「北斗の拳」シリーズなどの販売によって遊技機事業の売上高が7%増えたほか、営業利益は85%も伸びました。

 主力のゲーム関連事業もモバイルゲームが既存・新作共に好調で、『龍が如く』や『Total War』シリーズを筆頭とするパッケージゲームも順調だったようです。日本人には馴染みの薄い『Total War』ですが、このゲームは指揮官となって三国志時代やナポレオン時代の軍隊を指揮するRTSゲームで、海外のPCゲームユーザーの間では著名なタイトルです。

規模拡大から一転して…

 2021/3期は業績が大幅に悪化することになります。売上高は24%減少し、営業利益は4分の1にまで縮小しました。全体売上高の3分の1を占める遊技機事業に関しては旧規制機から新規制機への置き替えシーズンでしたが、パチスロ店の休業が重なったことで置き替え時期が延長となり、売上高が前年度の1085億円から531億円と半減しました。

 同セグメントの経常利益は228億円から-113億円と赤字に転落し、全社利益の大幅減少に寄与しています。さらに、リゾート事業の赤字幅が前年から36億円も増えており、同じく全社利益の縮小要因となっています。主力のゲーム事業もゲームセンターの縮小が大きく寄与し、売上高が300億円近く減少。

 ただし、巣ごもり需要で一般向けゲームソフトの売れ行きが好調となり、セグメント全体では大幅増益に落ち着いています。以上のように2021/3期は競合ゲーム企業と同様、一般向けゲームソフトが好調だったものの遊技機とリゾート、そしてゲーセン事業の停滞が足を引っ張り、全社では業績が悪化してしまったようです

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