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菅直人元首相「ヒトラー発言」騒動で思わぬ”余波”。橋下氏と維新の関係はグレーゾーン

ビジネス

橋下氏と維新の関係はグレーゾーン

大石晃子

2020年11月1日実施の「大阪市を廃止して4つの特別区へと再編する」ことを問う住民投票を前に、梅田駅前で街頭演説する大石晃子議員

 菅議員が言うように、橋下氏と維新が無関係であるなら維新から抗議は筋違いです。橋下氏は成人した大人であり、弁護士の資格もあります。もし、菅発言が名誉を毀損するものであったり、不当な言いがかりだったりと言いたければ、本人から抗議するのが妥当でしょう

 実際、橋下氏はれいわ新選組の大石晃子議員を名誉毀損で訴えています。これに維新はタッチしていません。とはいえ、橋下氏が維新の創設者であることを踏まえると、馬場議員の「橋下氏と維新は関係がない」という言葉を額面通りに受け止めるわけにはいきません。

 しかし、冒頭の番組が維新に偏向していると指摘されてしまったこともあり、どうしても維新は橋下氏を関係者であることを認めることはできないのです

以前は自身が「ヒトラー発言」を

石原慎太郎

太陽の党の前身政党・たちあがれ日本の結党記念パーティーで、あいさつに立つ石原慎太郎共同代表。石原代表は現職の都知事との兼任。石原代表の隣にいるのが片山虎之助議員

 さて、これまでにも橋下氏をヒトラーになぞらえた人物は少なくありません。橋下氏は大阪市長時代に国政政党を立ち上げていますが、橋下市長とともに共同代表に就任した故・石原慎太郎議員(当時)は政治家を引退する際の記者会見で橋下氏をヒトラーになぞらえて賞賛しています

「ヒトラーになぞらえても、褒める意味で使うなら問題ないのではないか?」という疑問を抱くかもしれませんが、これは逆です。歴史上、ヒトラーは独裁政治の象徴ともいえる人物です。それはドイツのみならず世界共通の認識になっています。

 ヒトラーを批判的な文脈で用いるのはセーフですが、肯定的に使うことは許されません。つまり、批判的に用いている菅議員のほうが正しい使い方で、肯定的に使った石原議員の用法がむしろアウトなのです

 実際、橋下氏も大阪市長時代に菅直人内閣をヒトラーになぞらえて批判しています。これも問題ありません。しかし、橋下氏は大学教授の外見をヒトラーになぞらえる揶揄するという、ルッキズムの観点から言い訳できない批判ツイートをしてしまっています。これはアウトです。

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